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(6)ノコギリ見せられ「私のものです」

続いて検察側は、解剖の報告書や遺体の鑑定書を証拠として示し、祐輔さんの頭部に10カ所の傷があり、死因は脳挫傷の可能性がもっとも高いことを明らかにした。犯行当時のことを思いだしたのか、歌織被告は鼻に手をやったり、ハンカチを鼻に当てたりして落ち着かない。体を震わせることもあった。検察側は犯行後に実家に送ったブルーシートや祐輔さんが寝ていたマットレスを証拠として示し、凄惨な犯行現場の様子を表現した。

検察官「(マットレスは)赤黒く変容していた」

マットレスの説明が続く間、歌織被告はしばらく目を閉じた。1、2分後に目を開けると、再びうつろな表情で前を見つめた。その後、検察側が証拠品として示したのは、歌織被告が祐輔さんの遺体を切断する際に使用したノコギリ。法廷中央に移動する歌織被告。ノコギリを手にした検察側とのやり取りが始まった。

検察官「見えますか」

被告「はい」

検察官「このノコギリで切断したのか」

被告「はい」

検察官「これは誰のもの」

被告「私です」

検察官「あなたが買ったものですね」

消え入りそうな細い声で歌織被告は答え、元の席に戻った。続いて証拠として示されたのは祐輔さんと被告が暮らしていたマンションの検証調書。スクリーンにマンションの外観や内部の写真が映し出された。かつてのわが家の様子を、歌織被告はじっと表情も変えず見つめた。その後検察側は犯行後の隠蔽(いんぺい)工作の証拠として、クローゼットなどを回収した業者や床の張り替え作業をした業者の供述調書を示した。

⇒(7)「あいつが憎い」