(3)初告白!?「給食食べられないのは魚介アレルギー」
父親からの暴力に続き、弁護人は幼少時のいじめについても質問を始めた。
弁護人「いじめを受けていたというが、誰からどういうことをされていたのですか?」
鈴香被告「主にそのときどきの担任の先生からいじめを受け、それに伴い、生徒もはやし立てる感じでした」
弁護人「具体的にはどういうことをされたのですか?」
鈴香被告「1年生の担任に『水子がついている』とみんなのいる前で言われたのが最初でした」
弁護人「その他は?」
鈴香被告「3年生か4年生から卒業までの担任の女の先生から、給食を残したり、時間内に食べられなかったりすると、手のひらの上におかずが置かれ、食べ終わるまで授業を受けさせてもらえなかったりしました」
弁護人「給食を食べられたことは?」
鈴香被告「ほとんどありませんでした」
弁護人「なぜですか?」
鈴香被告「偏食もあるが、アレルギーもありました」
弁護人「どんなアレルギーですか?」
鈴香被告「魚介(類のアレルギー)だと思います。一度、首から下に湿疹(しっしん)ができて、病院で見てもらったら『食べられないものを食べたからだ』と言われました。それを先生に言ったが、変わりませんでした」
偏食があったことは1審でも話していた鈴香被告だが、アレルギーについては、今回初めて出てきた話。
弁護人「他の生徒にはどうでした?」
鈴香被告「見たことがありません」
弁護人「なぜ、そういうことをされるのか、理解できましたか?」
鈴香被告「いいえ」
弁護人「あだ名もあったといいますが?」
鈴香被告「『バイ菌』とか、『心霊写真』とか」
弁護人「先生のいじめと関係があるのですか?」
鈴香被告「食べられないものを手のひらに乗せられたりして、手のすき間から汁がしたたって、机の上にこぼれたりしたので、そういうあだ名が…『バイ菌』と言われました」
弁護人「そのほかに生徒からのいじめは?」
鈴香被告「きれいにしてやるとトイレに連れて行かれ…トイレ掃除の時間だと思うが、個室に入れられ、上から洗剤や水をかけられたことが何度かありました」
1審と同様の説明をする鈴香被告。弁護側は友だちの存在についても聞いていく。
弁護人「小学校時代に親しい友達はいましたか?」
鈴香被告「いました」
弁護人「名前は」
鈴香被告「○○さん(実名)です」
弁護人「他にはいなかったのですか?」
鈴香被告「いません」
ここで、鈴香被告が苦しそうな表情をしたので、弁護人が「続けられますか」と気遣った。うなずく鈴香被告。その様子を見て、弁護人は質問を続けた。
弁護人「中学時代はどうですか?」
鈴香被告「無視されたり…同じ小学校からの持ち上がりがほとんどだったので、無視が多かったです」
弁護人「どんなふうに無視されるのですか?」
鈴香被告「休み時間とかで声をかけても聞こえないふりをされたり、答えてくれてもそそくさと別の用事を見つけて出ていったりとか…」
弁護人「あなたに対する悪口は?」
鈴香被告「ある人が『別の人が、鈴香のことを暗いと言っている』というのを聞きました」
弁護人「中学時代に友達は?」
鈴香被告「4、5人。図書館で話す友達がいました」
弁護人「どういうふうに?」
鈴香被告「図書館で昼休みや放課後に、マンガを書いたりする人たちが何人かいて、図書館に通っていた私もその人たちと話をするようになりました」
弁護人「悩みをうちあける人は?」
鈴香被告「いませんでした」
弁護人「(小学校時代の親友だった)○○さんはどうですか。同じ中学校だったんですよね?」
鈴香被告「はい」
弁護人「中学のときはどうでしたか?」
鈴香被告「話はできました」
弁護人「高校のときは?」
鈴香被告「できませんでした」
小学校時代の親友も、高校時代になると離れていったという。当時の孤独な状況が強調されたが、その口調は淡々とした調子だ。