(2)「有利な離婚」焦る歌織被告、凶器はワインボトル
検察側の冒頭陳述が続く。祐輔さんの暴力がなくなった状況を説明し、歌織被告が暴力以外での離婚理由を探そうとしている状況を明らかにした。
検察官「被告人名義でマンションを購入させ、離婚後に自分のものにしようと考えていた」
冒頭陳述は祐輔さんの事件前の状況に移る。祐輔さんは11月中旬に被告以外の女性と交際を始め、離婚を考え出した。一方、自分に有利な条件をつかもうとしていた歌織被告は12月9日ごろ、自宅にボイスレコーダーをしかけ外出。その後確認すると祐輔さんと交際女性との会話が録音されていた。歌織被告は相変わらず、じっと検察官のほうを見据えたままだ。
検察官「それを突きつければ、有利に話を進められると考えた」
12月11日、歌織被告は自宅に友人を呼び、録音内容を確認してもらう。友人は「いざ離婚となってもマンションを取り上げるのは難しい」と話したと、冒頭陳述で明らかにした。
検察官「(被告は)有利な条件で離婚できないと分かり、落胆した」
いよいよ冒頭陳述は犯行日の12月12日に移る。離婚の話をしようとしていた日、帰宅した祐輔さんは布団マットで眠った。それを見た歌織被告は自分の思い通りに離婚話が進まない腹立ち、自分のプライドを傷つけられた悔しさから殺害を決意した。
検察官「台所にあった中身入りのワインボトルで、祐輔さんの頭を力一杯殴った」
続いて冒頭陳述は、詳細な犯行状況を描写した。
検察官「被害者が頭を抱えるように上体を起こしたことから、さらに数発力一杯殴った」
祐輔さんを殺害した歌織被告。冒頭陳述は死体損壊、死体遺棄の状況に移る。検察官はプロジェクターを使って、歌織被告がどのように遺体を切断したかを説明した。
検察官「自宅でノコギリを使って、まず頭部を切断した」
この頃から歌織被告の様子に変化が現れた。それまでじっと検察官を見据えていたが、髪をかき上げたり、鼻に手をやったり、唇をなめるなど時折落ち着かない様子が見られた。冒頭陳述は、12月14日、歌織被告が切断した上半身を入れたゴミ袋が入ったキャリーケースに入れ、タクシーで新宿駅付近に運び、植え込みにゴミ袋を捨てた状況に移った。