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(1)暗い部屋、被害者転がしたまま無音でAV…そこへノック

東京都江東区のマンションで、2軒隣に住む会社員の東城瑠理香さん=当時(23)=を殺害して遺体をバラバラにし、トイレに流すなどしたとして、殺人、死体損壊、死体遺棄など5つの罪に問われた、星島貴徳被告(34)に対する第2回公判が14日午後1時半、東京地裁104号法廷で始まった。東城さんの行方がマンション内で忽然と消えたことから「神隠し殺人」と呼ばれたこの事件は、13日の初公判に続いて2日連続の開廷となる。

初公判では星島被告が「違っていることはございません。その通りです」と全面的に起訴事実を認め、犯行の事実関係について検察側と被告側で争いはない。このため、最大の争点としてクローズアップされているのは量刑だ。

検察側は、初公判では殺害や遺体解体といった生々しい犯行場面についてほとんど質問しなかった。だが、犯行の悪質さを立証するため、今後は「死体の頭から髪の毛を切り取り、耳や鼻、唇を切り取りました。さらに目玉をえぐって取り出し、いずれも下水道管に流しました」(検察側の冒頭陳述)といった猟奇的な状況を、星島被告の言葉で再現することを目指すと考えられる。

傍聴席にはこの日も、東城さんの遺族とみられる10人ほどが前列に座った。開廷直前に入廷した星島被告は前日と同様、黒いタートルネックに黒いズボン姿で、遺族の方には視線を向けずに下を向いたまま。不自然さを感じるほどゆっくりとした動きで証言席に腰かけた。

裁判長「きのうに引き続き、検察側の質問を行います」

検察官「4月18日に瑠理香さんを918号室(星島被告の自室)に拉致してからのことを聞きます。強姦するつもりで連れてきたができず、アダルトビデオを見たりしていたということですが、そうしたことをしている間、部屋の照明はつけていましたか」

星島被告「消していたと思います」

星島被告の声が小さいため、検察官が被告の前に設置されているマイクの位置を調整する。

検察官「ビデオはどのディスプレー(画面)で見ていましたか」

星島被告「机につけていたモニターだと思います」

検察官が「パワーポイントに切り替えます」と告げ、法廷の大型モニターに星島被告の部屋の様子が映し出された。中央にベッドが見え、脇には机といすもある。

検察官「あなたはどこに座って見ていましたか」

星島被告「机のすぐ前のいすです」

画面が切り替わり、星島被告がいすに座っている場面が映る。捜査のため星島被告を部屋に同行し、犯行当時を再現したときの写真である。

検察官「廊下の照明は?」

星島被告「ついていたと思います」

検察官「瑠理香さんに話しかけていましたか」

星島被告「いないと思います」

検察官「どうしてですか」

星島被告「話す言葉が思い浮かばなかったからだと思います」

検察官「(犯人が)1人だと分かるからですか」

星島被告「それもあると思います」

検察官「ビデオの音声は?」

星島被告「消していたと思います」

星島被告の語尾は「思います」が多い。

検察官「口にはタオルを押し込んでいましたか」

星島被告「はい」

検察官「どうなっていましたか」

星島被告「口から出されていたと思います。はき出していたと思います」

検察官「叫ぼうと思えば叫べる状態でしたか」

星島被告「そうだと思います」

検察官「実際には瑠理香さんは声を出しましたか」

星島被告「出していません」

検察官「918号室はあなたもしゃべらない、ビデオの音声も出てない、暗くて静かだったんですか」

星島被告「はい」

検察官「はき出したタオルはどうしましたか」

星島被告「口に詰め直しました」

検察官「吐き出し、詰め込むというのを何回繰り返しましたか」

星島被告「2、3回だと思います。…はっきり覚えていません」

星島被告は開廷からずっと下を向き、ぼそぼそとしゃべっている。

検察官「東城さんの傷はどうしましたか」

星島被告「傷口に当てていたハンカチを何度か濡らし直して交換したと思います。それ以上は何もしていません」

検察官「何のために交換したんですか」

星島被告「傷口を冷やして…腫れが早く引くようにと考えていました」

検察官「けがが治らないとどうなると考えましたか」

星島被告「とても強姦できる状態ではないと…」

検察官「強姦しないと性奴隷にならない、性奴隷にならないと解放できないということですか」

星島被告「はい」

「性奴隷」は検察側が冒頭陳述に盛り込んだ事件のキーワードだ。星島被告は初公判で、「1人の女性に強姦し続け、性奴隷にすることができると考えた」「警察に訴えられないようセックスで調教しようと思った」などと語った。

検察官「918号室がノックされたことがありましたね。何時ごろですか」

星島被告「(午後)10時30分ぐらいだと思います」

検察官「警察官は10時20分ごろだとしています」

星島被告「では10時20分で間違いないと思います」

検察官「AVを見ていましたか」

星島被告「はい」

検察官「勃起しましたか」

星島被告「しませんでした」

検察官「勃起していたら強姦していましたか」

星島被告「したと思います」

検察官「ノックを聞いてまずあなたは何をしましたか」

星島被告「瑠理香さんの方を見たと思います」

検察官「どうしてですか」

星島被告「逃げだそうとしていないか確認しました」

検察官「東城さんはどうしていましたか」

星島被告「変わったことはありませんでした。気づかないふりをしていたのかも知れません。余計なことをして殴られるのを恐れていたのか、どっちか分かりません」

検察官「(来訪者は)誰だと思いましたか」

星島被告「警察だと思いました」

検察官「なぜですか」

星島被告「916(東城さんの部屋)で大きな声を出されて、暴れて、ほかの階か外部の人に気づかれたのかと…」

検察官「誰がいるか、確認しましたか」

星島被告「ドアにのぞき穴があるので外を見たら誰もいませんでした」

検察官「すぐ見ましたか」

星島被告「しばらく後だったと思います」

星島被告は誰が訪ねてきたのかが気になり、ノックから約20分後の午後10時40分ごろ、918号室を出てみることにした。東城さんは「おとなしくしていた」という。

検察官「916号室の前に誰かいましたか」

星島被告「警官がいました」

検察官「何人ですか」

星島被告「3人いたと思います。はっきり覚えていません」

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