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初公判(2010.9.3)

 

(9)「白目むいたりけいれん…呼吸できず死に至る」 専門家が違法薬物の実害指摘

押尾被告

 飲食店従業員、田中香織さん(30)が搬送された際の状況について、検察側による証拠調べが続く。日ごろ聞き慣れない専門用語が飛び交うだけに、裁判員はモニター画面を注視しながら、検察官の言葉に真剣に耳を傾けているようだ。まずは救急隊の担当者の供述内容が読み上げられていく。

検察官「救急隊が患者をどの病院に搬送するかという判断は、救急隊長が3次救急病院を指定すれば、指令室に依頼する仕組みになっています。患者と接触後に心肺が停止していれば、人工呼吸を行う。心停止を確認したのちにAED(自動体外式除細動器)が使えると判断すれば病院までの間に使用し、人工呼吸などとともに行うことになります。病院到着後は救急隊長が医師に心電図の状況などを報告します」

 次に検察官は事件現場となった六本木ヒルズレジデンスの救急対応の体制などについて、ビル関係者の供述内容を読み上げる。

検察官「レジデンスでは部屋からフロントに電話ができる仕組みになっており、スタッフとはいつでも話ができます。救急車の依頼なら、フロントから119番通報することも可能です。看護師を部屋へ派遣させることもできます。到着した救急隊はフロントスタッフが部屋まで先導することになります」

 続いて検察官は六本木ヒルズレジデンスの防災センター担当者の供述内容について述べていく。

検察官「8月2日は防災センターに勤務していました。救急隊到着後は誘導を行います。フロントから防災センターに救急隊が来るという連絡があれば、3〜4人の人員が必要になります。この日午後6時ごろの勤務人員で十分でした」

 続いて別の男性検察官が六本木ヒルズレジデンスの見取り図について、ヒルズ関係者の供述内容を読み上げる。防災センターやフロントの位置が映し出され、裁判員たちは一斉にモニターに目を向ける。

検察官「急病人がいたら防災センターと管理室が共同対応します。救急隊の対応と(患者搬送のための)導線の確保が必要となり、救急隊の到着場所から患者の居室までのすべてのドアを解錠します。導線確保のために必要な人員は3人程度です」

 次は六本木ヒルズレジデンス常駐の看護師からの聞き取り内容だ。

検察官「急患に備えて看護師が常に待機しています。電話で(居室の)患者の対応を行ったり、できる処置を行うことになります。心肺停止を確認すれば、気道の確保やAEDを使用したりします」

 続いて田中さんが搬送された日本赤十字社医療センターの担当者の聞き取り内容だ。

検察官「(田中さんが死亡した時間帯とみられる)8月2日午後5時45分から午後7時までの間、3次救急の受け入れは可能でした。22年1月8日に実施した実況見分では、センターの救急車停止場所から患者の処置室までの距離は14・3メートルでした」

 さらに別の男性検察官へ交代する。違法薬物の体への影響について、専門家に対し行った調べの内容について説明する。

検察官「中枢神経系に効く薬物は意識の変容が進むと錯乱状態に陥ります。ブツブツと独り言を言い出し、暴れることもあります。血中濃度が高くなれば錯乱はさらにひどくなり、けいれんを起こすこともあります。これは薬物の作用により、デタラメな信号が神経に送られるためで、体を上下に動かしたり、白目をむいたりと次々にけいれんが起こるのです。ひどくなると呼吸ができなくなり、死に至ることもあります」

 眉間(みけん)にしわを寄せながらじっと説明を聞く複数の裁判員。

検察官「また、生命維持の基礎をつかさどる自律神経に薬物の影響が及ぶと高血圧や高体温を生じます。血中濃度は非常に高くなり、体に血液が流れなくなるようになります。低酸素状態となり、実質的に心臓の機能が失われることになるのです。肺水腫については、肺の毛細血管から肺胞に水分がにじみ出て、肺が水浸しとなり、酸素が体に取り込まれなくなるのです」

⇒(10)「女性の赤ん坊のころの写真です」 身を乗り出して見入る押尾被告の胸中は…