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(3)東城さんは「逮捕される証拠、邪魔な存在、消さなければいけない存在」

検察官による被告人質問が続く。検察側は、拉致した東城瑠理香さんを殺害してバラバラにしようと考えた星島貴徳被告の心の変遷について証言を求めた。星島被告は小声で淡々とした口調ながら、東城さんの殺害に至った心理を語り始めた。

検察官「バラバラにして、いったんは遺体を隠そうと思ったのは、何のためですか」

星島被告「警察に見つからないようにするためです」

検察官「その時点では、隠した遺体をどうしようと思っていましたか」

星島被告「カバンか何かに入れて、遠くに捨てるつもりでした」

検察官「殺してバラバラにすることで、あなたの人生はどうなると思いましたか」

星島被告「もとのように暮らしていけると思いました」

検察官「918号室に戻って、バラバラにすると決めるまで、何分くらいかかりましたか」

星島被告「20分ほど。(平成20年4月18日の)午後11時ごろに決めて、それで殺害したと思います」

検察官「バラバラにする道具は事前に用意していたのですか」

星島被告「いいえ、偶然ありました」

検察官「どのようなものを使えば、バラバラにできる思いましたか」

星島被告「ノコギリで骨を切って、バラバラにできると思いました」

検察官「東城さんに抵抗される可能性はあると思いましたか」

星島被告「なかったと思います」

検察官「『東城さんはかわいそう』と考えましたか」

星島被告「考えていません。自分のことだけでした」

訥々と証言する星島被告。傍聴席から向かって右の女性裁判官は、星島被告の身勝手な証言を聞いたからだろうか、顔をしかめながらメモを取っている。

検察官「その理由を聞きます。あなたは、何のために東城さんを拉致しましたか」

星島被告「性奴隷にするためです」

検察官「東城さんについて、知っていることはありましたか」

星島被告「ありません」

検察官「東城さんの個性や人格について、どう思っていましたか」

星島被告「何も考えてません」

検察官「被害者の苦しみ、遺族の悲しみは考えなかったですか」

星島被告「はい」

検察官は星島被告を諭すように言葉を続ける。

検察官「他方、あなたは世の中で何が一番大事だと思っていましたか」

星島被告「(少し考えて)自分、だと思います」

検察官「(4月18日午後11時ごろの)当時、東城さんの存在は、どういうものだと思っていましたか」

星島被告「自分が逮捕される証拠、邪魔な存在、消さなければいけない存在だと思いました」

検察官「仮に4月18日、捜査が始まっていなければ、違う結果になっていたと思いますか」

星島被告「違うと思います」

検察官「どうなっていましたか」

星島被告「殺してはいないんじゃないかと思います。脅迫する材料を見つけて、口止めして、もとの生活に戻っていたということもあったかと思います」

検察官「口止めと言いますが、東城さんはあなたの言うことを聞くと思いましたか」

星島被告「それはわかりませんが、警察が来なければ、殺すようなことは絶対に避けていたと思います」

星島被告は珍しく、大きな声で訴えた。当初はあくまで乱暴が目的であり、計画性がなかったということを強調したいのだろうか。しかし検察官から、口止めがうまくいかなかった場合を尋ねられると、「やはり殺す可能性はあったかもしれません」と、すぐさま証言を翻した。

検察官「あなたは、東城さんをどうやって殺そうと決めたのですか」

星島被告「血が流れると思い、首を包丁で刺そうと思いました」

検察官「あなたは、首は人間にとってどういう部分だと思っていましたか」

星島被告「脳に血を流す一番重要なところだと思っていました。心臓は場所がよくわからないのと、前に『完全自殺マニュアル』を読んで、心臓は1度や2度刺しただけでは、なかなか死なないと書いてあったので、そういったことが頭をよぎって、首を切るという方法を選んで、実行しました」

「完全自殺マニュアル」とはさまざまな自殺の方法を紹介した本。平成5年に発売されると100万部を超えるベストセラーになったが、青少年に悪影響を及ぼすなどの批判も多く、物議を醸したことで知られる。星島被告は勾留(こうりゅう)中に自殺を試みたことが明らかになっているが、以前から「自殺願望」があったのだろうか。

検察官「首を絞めることは考えなかったのですか」

星島被告「息を吹き返す可能性はゼロではないと思いました」

検察官「首なら1回で殺せると、そう考えたことはありましたか」

星島被告「あると思います。2度も3度も刺したくありませんでした」

検察官「殺すための道具は何を使おうと考えましたか」

星島被告「(東城さんが住んでいた)916号室から持ってきた包丁を使おうと思いました。自分のは使いたくなかった」

検察官「それは、なぜ?」

星島被告「自分の道具を人殺しに使いたくなかった。殺してバラバラにして証拠をなくして、もとの生活に戻ろうと思っていました」

あまりにも身勝手な証言を聞くことに耐えきれなくなったのだろうか、傍聴席右側の遺族とみられる女性が、この瞬間、嗚咽を漏らした。星島被告はかまわず証言を続け、いよいよ東城さんを殺害する瞬間に移っていった。

⇒(4)刺した後、腰と太ももを押さえながら「早く、早く…」