(5)DV「手は出さず、体当たり」
歌織被告の大学時代の同級生だった女性への質問が続く。弁護側は、歌織被告と祐輔さんの関係について尋ねる。
弁護人「(17年秋ごろに友人らと歌織被告の自宅で)実際に集まったのはどんな日だった?」
証人「週末の土曜日」
弁護人「どれくらいの時間?」
証人「2時間くらい。昼ご飯を一緒に食べた」
弁護人「昼ご飯は誰が作った?」
証人「歌織さんが」
弁護人「どんな話をした?」
証人「『最近どう?』という話」
弁護人「はじめから2人の関係について話した?」
証人「そんなわけではない」
弁護人「婚姻関係についての話は?」
証人「詳細な話をしたかは覚えていない。『アルバイトに出る』『自立するには経済力をつけないと』と聞いた」
弁護人「どういう印象を持った?」
証人「『離婚するんだな』と」
弁護人「祐輔さんはどのように話しているか聞いたか?」
証人「歌織さんは離婚したいが、祐輔さんが認めてくれないと」
弁護人「歌織被告の様子は?」
証人「前回(会ったとき)と同じように明るさがなかった」
弁護人「離婚した後に住む場所については?」
証人「離婚を前提にマンションを探しているが、契約に必要な保証人がいないので移ることができないと」
弁護人「保証人のことについて聞いた?」
証人「(うなずく)」
弁護人「シェルターから出た後の暴力については?」
証人「聞いていない。シェルターに入る前は手で殴られたが、(シェルターから出た)後は暴力はしないという了解を得て、手を出さなければいいと、体でぶつかってくると(聞いた)」
弁護人「(歌織被告のの)弟との関係については?」
証人「仲はよかったが、祐輔さんとの件で不利になることを言われ、仲が悪くなったと」
弁護人「祐輔さんのせいで?」
証人「はい」
弁護人「このとき(17年秋ごろに)会ったのが最後?」
証人「はい」
弁護人「17年秋に最後に会い、証人はその後、どうした?」
証人「海外に仕事で出た」
弁護人「事件について誰から聞いた?」
証人「(歌織被告、証人の大学時代の同級生だった)○○さんから電話で聞いた」
弁護人「○○さんから聞いてどのように思った?」
証人「『歌織さんが殺された』と」
弁護人「理由は?」
証人「祐輔さんから暴力を受けていたので」
弁護人「実際は歌織さんが殺害したが、どう思った?」
証人「信じられない」
弁護人「(歌織被告の事件で)証人の生活も大変に?」
証人「実家の両親に電話があった」
弁護人「事件で?」
証人「はい」
弁護人「両親に迷惑が?」
証人「はい」
弁護人「このような(生活の)負担を考えて、証言に立ってくれるのはどうして?」
証人「数年見てきて、このようなことをする人じゃない。それなりの理由があったことを分かってほしい」
弁護人「友人関係がなくなることは?」
証人「ない」
続いて、検察側の反対尋問が始まった。歌織被告は顔を紅潮させたまま、やり取りにじっと聞き入っている。証人と歌織被告らが会ったときのことについて質問した。
検察官「確認だが、証人は日本にいて、15年の夏から海外に?」
証人「はい」
検察官「戻ってきたのは?」
証人「一時帰国したのは1年後の夏。16年7月」
検察官「次にフランスに行ったのは?」
証人「3カ月後」
検察官「16年10月?」
証人「他の国に戻った。それくらい(の時期)」
検察官「日本にいたのは16年7月から10月」
証人「はい」
検察官「次に日本に戻ってきたのは?」
証人「翌年の7月」
検察官「17年の7月?」
証人「はい」
検察官「いつまで日本に?」
証人「18年1月」
検察官「18年1月以降日本にいない?」
証人「はい」
検察官「連絡は?」
証人「電話で何度か」
検察官「大学の同級生ということだが、会う頻度は?」
証人「年に3、4回」
検察官「大学時代から比べて減った?」
証人「お互い忙しかった」
検察官「祐輔さんと被告はどんなカップル? 印象は?」
裁判長「その質問は関連性がありますか?」
検察官「特にない?」
証人「(うなずく)」
検察官「祐輔さんから『(歌織被告が)帰ってこない』と電話があったのは平日?」
証人「平日」
検察官「電話の途中で(歌織被告が)帰ってきたということだが、歌織被告からその後の説明は?」
証人「『電話番号は知らないはずなので、自分(歌織被告の)の携帯電話から見つけたんではないか』と言っていた」
検察官「(電話番号を)知った理由ではなく、なぜ電話したか?」
証人「仲が良かったから」
検察官「(歌織被告、証人の大学時代の同級生だった)○○さんの家には当初、祐輔さんが来ることになっていなかった?」
証人「はい」
検察官「『呼ぼう』とはなっていなかった?」
証人「記憶にない」
検察官「16年8月に2人で会った。休みの日だった?」
証人「覚えていない」