(2)夫を引きずって追い出した歌織被告
祐輔さんが法律事務所に勤めていた当時の同僚女性の生々しい証言が続く。同僚は、平成18年3月に歌織被告に呼び出され、2人の壮絶な修羅場を見たと証言した。
検察官「祐輔さんが被告を殴って(被告が)シェルターに入ったと聞いたことがある?」
証人「はい」
検察官「いつごろ聞いた?」
証人「平成17年の春ごろ」
検察官「祐輔さんが殴った理由は聞いている?」
証人「特に聞いていない」
検察官「その後、被告との間に公正証書を作ったことを聞いた?」
証人「はい」
検察官「いつ?」
証人「平成17年の春から夏にかけて」
検察官「どのような内容と聞いた?」
証人「暴力をふるったり、お酒を飲んだり、浮気をしたら3000万円を支払うという内容だった」
検察官「なぜ公正証書を作ったのか聞いた?」
証人「一度殴ったら(歌織被告が)離婚すると言ってきかないので、歌織さんに言われて作ったと聞いた」
検察官「祐輔さんが被告に脅されているような話を聞いたことは?」
証人「(歌織被告が)殴られたのでいつでも祐輔さんを告発できると言っていたと」
検察官「そのほかには?」
証人「疑問を感じたことはある。平成17年夏に渋谷署に呼ばれたとき」
検察官「あなたが(渋谷署に)行ったのか?」
証人「祐輔さんから『大変なことになった』と言われて行くと、祐輔さんと刑事さん2人がロビーにいた」
検察官「祐輔さんからはどんな話を聞いた?」
証人「新しい家具を祐輔さんと歌織さんが一緒にに買いに行ったとき、口論になって突然(歌織被告が)『この人殴ります』と大声で言って、祐輔さんが『やめろ』と言ったところ、『暴力を振るわれたので(警察に)保護してもらう』と言ったと」
検察官「祐輔さんは暴力をふるったと言っていた?」
証人「ふるっていないそうです」
検察官「それを聞いてどう思った?」
証人「いくら何でも街中で暴力をふるうことは考えにくいので、今までのことを逆手に取って(歌織被告が)言ったのかなと思った」
検察官「渋谷署では祐輔さんはどんなことを言っていた?」
証人「祐輔さんは刑事さんに『(歌織被告に)会わせてほしい』と言っても、刑事さんは『会えない』と。私が公正証書の話をすると、刑事さんは『別れたほうがいい』と言っていた」
検察官「話は変わるが、祐輔さんから被告と別れたいという話を聞いたことがある?」
証人「はい」
検察官「なぜ、離婚するのか言っていた?」
証人「会社のほうに電話やメールが来たりして、脅されているようで生きた心地がしないと」
検察官「それに対してあなたは何と言った?」
証人「別れた方がいいと」
検察官「別れたほうがいいとなぜ思ったのか?」
証人「何かあると、ケンカになるので離れた方がいいと」
検察官「被告と祐輔さんがケンカをしている場面を直接見たことがある?」
証人「はい、平成18年の3月15日ごろ」
検察官「どういう経緯で立ち会ったのか?」
証人「歌織さんから携帯に連絡があり、祐輔さんを追い出したが、祐輔さんが荷物を取りに来るというので立ち会ってほしいと」
検察官「頼まれてどうした?」
証人「渋谷区富ケ谷のマンションに行った」
検察官「ケンカの原因は何だった?」
証人「歌織さんが祐輔さんの浮気を疑っているのではないか、と会話から思った」
検察官「なぜそう思った?」
証人「歌織さんが『毎晩、毎晩遅く帰ってきて浮気しているんじゃないか』と言っていた」
検察官「祐輔さんは何と?」
証人「浮気はしていない、残業で遅いと言っていた」
検察官「被告はどういう感じだった?」
証人「かなりヒステリーを起こしているように見えた」
検察官「被告は暴力をふるった?」
証人「平手で祐輔さんを殴ったり、突き飛ばしたりした」
検察官「祐輔さんの反応は?」
証人「途中泣きながら、許してくれと言っていた」
検察官「祐輔さんは被告に手を出さなかったか?」
証人「はい」
検察官「ケンカはどれぐらい続いた?」
証人「5〜6時間続いたと思う」
検察官「どういう状況だった?」
証人「祐輔さんが『出て行きたくない』と言って(歌織被告の)足にしがみついたりして、それを歌織さんが引きずって玄関に運んだり、壮絶なケンカだった」
検察官「最後はどうなった?」
証人「歌織さんが(祐輔さんの)足を持って、引きずって玄関に持っていって、荷物も持ってきて無理やり追い出した」