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(6)「卑劣かつ残虐、執拗かつ冷酷」鈴香被告を糾弾

静まりかえった法廷に、裁判長の声が響く。豪憲君の殺害状況について、裁判長が「背後から無言で近づいた」「ひもを絞める力を一旦ゆるめたが、再度力いっぱい締め付けた」と読み上げると、傍聴席に座った豪憲君の母、真智子さんは遺影を抱えるようにしてうつむき、しきりにタオルで涙をぬぐった。

裁判長は、豪憲君事件の計画性について言及した。鈴香被告はこれまでに、犯行動機について「彩香がいないのに豪憲君は何でこんなに元気なのかと思うと、切なくなり嫉妬した」と供述。弁護側は突発的な行動であったことを主張していた。この供述について裁判長は、「にわかに理解しがたい」とする一方、鈴香被告が抱いていた強い劣等感や、独断性といった性格がこうした犯行に結びついた可能性を指摘した。

裁判長「切なさや嫉妬心で犯行に及んでしまったのも、被告の性格の表れとして理解できなくはない」

続いて裁判長は、豪憲君殺害時の鈴香被告の責任能力についての判断を示す。弁護側は「何らかの病的要因により、判断能力が阻害されていた」として心神耗弱を訴えたのに対し、判決では犯行当時は問題なく日常生活を送っていたこと、テレビ局の取材を受けていること−などに注目した。

裁判長「彩香殺害後の被告人の心理に、記憶の抑圧という特殊な作用が働いていたことを十分に考慮しても、犯行当時、被告人に完全責任能力があったと認めるのが相当である」

また、豪憲君への殺意を抱いた時期について、検察側はこれまでに、「彩香ちゃん殺害の疑いの目をそらすことを目的として、豪憲君を自宅に招き入れた時点で殺害を決意」していたとして、計画的犯行であることを強調していたが、これに対し、裁判長は疑問を呈する。

裁判長「自動車に豪憲のランドセルを積む様子を目撃されており、稚拙な行動形態は、犯行が計画的であったことにはそぐわない」

つまり、「殺害を決意したのは豪憲君を部屋に誘い入れてから」とする鈴香被告の供述が認められたということだ。

裁判長「それでは、量刑理由を読み上げます」

裁判長がこう切り出すと、法廷の空気が緊張を増した。豪憲君の父、勝弘さんは無期懲役判決に納得がいかないように、険しい表情で証言台の鈴香被告をにらんでいる。

裁判長「本件犯行が凶悪かつ卑劣なものであることは論を待たない」

「被告の刑責(刑事責任)は極めて重大」

「罪刑の均衡の見地からも、一般予防の見地からも、極刑がやむを得ないと認められる場合には、死刑の選択をするほかない」

「死刑」という言葉に傍聴席に座る鈴香被告の弟は顔をしかめたが、母親は落ち着いた表情で前方を見つめている。

一方、幼い2人の被害者について話が及ぶと、裁判長は鈴香被告を厳しく糾弾した。

裁判長「彩香殺害の動機は、親としての情愛に欠けた、極めて身勝手かつ、短絡的なもの」

「(彩香が)慕っていた母親に裏切られた絶望感や悲しみの深さを考えると、ただただ哀れ」

「(豪憲君殺害の)身勝手かつ浅はかな動機に、酌むべき事情はない」

「卑劣かつ残虐、執拗かつ冷酷」

証言台の鈴香被告はまっすぐに前を向き、じっと裁判長を見つめている。

⇒(7)ピンクのサンダルを脱ぎ、30秒間の土下座