(3)「ノースリーブの右腕にあざ」歌織被告の友人証言
この日2人目の証人として、歌織被告の大学時代からの友人女性が出廷した。法廷に証人が入ってきた瞬間、歌織被告はハンカチで口を押さえてうつむき、何度もしゃくり上げた。
弁護人「証人は歌織被告とどういう関係か?」
証人「大学1年からの友人。もうひとりの○○さん(実名)と3人で仲がよかった」
弁護人「卒業後は?」
証人「留学したが、日本にいるときは頻繁に会っていた」
弁護人「歌織被告の性格はどうか?」
証人「うれしい、悔しい、自分の感情を100パーセント素直に表現する。半面、悪口とかは言わない」
弁護人「あなたにとってどういう存在?」
証人「悩みを親身に聞いてくれる頼りがいある女性だ」
歌織被告はハンカチを口に当てたまま。目をつぶり、顔は紅潮していた。
弁護人「祐輔さんとの結婚は知っていた?」
証人「2003(平成15)年の4月ごろに聞いた。祝いに友人と集まろうと、歌織さんと祐輔さんと○○さんと4人で会った」
弁護人「そのときの祐輔さんの印象は?」
証人「特になかった」
弁護人「その後、祐輔さんと会ったことはあるか?」
証人「その年の夏に突然電話があって、歌織が帰ってこないが知らないか、と聞かれた」
弁護人「番号は教えていたのか?」
証人「いえ」
弁護人「電話の時間帯は心配するような時間?」
証人「午後9時か10時くらい」
弁護人「それで、2人の関係をどう思った?」
証人「祐輔さんは心配性だなと」
弁護人「次に歌織被告に会ったのは?」
証人「同じ年の夏だったと思う。私が留学するので、集まった」
弁護人「当初のメンバーは?」
証人「歌織さんと○○さんと私」
弁護人「当日、歌織被告は来た?」
証人「近くにいるのだが、祐輔さんが行かせてくれないと」
弁護人「祐輔さんは来た?」
証人「私か○○さんが祐輔さんに電話して呼んだと思う」
弁護人「祐輔さんが来てからはずっと一緒にいたのか?」
証人「祐輔さんが来て、10分か15分くらいで2人は帰ってしまった」
弁護人「2人の関係についてどう思った?」
証人「女友達の集まる場にも来れない。束縛されているなと思った」
弁護人「それ以降、祐輔さんと会ったことは?」
証人「これが最後だ」
弁護人「歌織被告とはその後は会った?」
証人「次の年(平成16年)の夏に会った。2人でお昼を食べた」
弁護人「祐輔さんとのの関係について歌織被告は何か話したのか?」
歌織被告は一瞬、すがるような目で証人をみやった。
証人「実は、酔うと暴力を振るわれると聞いた」
弁護人「いつごろからだと?」
証人「結婚して半年くらいからだと聞いた」
弁護人「内容は?」
証人「馬乗りになって髪の毛を引っ張られたり、鍵のかかる風呂場に逃げてもドアを突き破ってくると。歌織被告はノースリーブを着ていたが、右腕にあざがあった」
弁護人「そのときの歌織被告の様子は?」
証人「涙をポロポロ流した」
弁護人「歌織被告と父との関係については何か聞いた?」
証人「うまくいってないと」
弁護人「実家の話は聞いた?」
証人「1度暴力から逃げるために実家に帰ったが父とうまくいかず、また東京に帰ってきたと聞いた」