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(3)仕事を始め、初めて楽しい生活…前夫は能代の浜で“逆ナンパ”

弁護人「職場には溶け込めたか?」

鈴香被告「最初は溶け込めなかったが、だんだん仲良くなることができて、事件直前まで連絡を取り合っていた人もいた」

弁護人「どんな遊びをしていた?」

鈴香被告「飲み屋で飲んだり、河原でバーベキューをしたり」

弁護人「楽しかったか?」

鈴香被告「今までの人生でそういうことはなかった。とても楽しかった」

弁護人「その後、実家に戻っているが?」

鈴香被告「電話で、父が糖尿病で目が見えなくなるので、顔を見せてほしいと言われ、帰った」

弁護人「何か仕事はしていたか?」

鈴香被告「アルバイトをしていた」

弁護人「また栃木へ行ったのは?」

鈴香被告「父が目が見えなくなるということではなく、私の体調が悪くて帰ってきたということになっていて、たった1人の幼なじみにも伝わっていた。それだったら楽しかった方に戻ろうと」

弁護人「目の話はうそだった?」

鈴香被告「はい」

弁護人「2回目はどこに行った?」

鈴香被告「川治温泉」

弁護人「元の場所とは違うが?」

鈴香被告「隣町になる」

弁護人「なぜ川治に?」

鈴香被告「友達がいたから」

弁護人「元の温泉のときの友達か?」

鈴香被告「そうです」

弁護人「何をしていた?」

鈴香被告「最初は仲居さんをしていたが、じきにコンパニオンのほうが収入がいいということで、コンパニオンに変わった」

弁護人「今度は父に連れ戻された?」

鈴香被告「父とおじが探しにきて、車で寝泊まりして探していると耳にし、自分から出ていった」

弁護人「なぜ探しにきた?」

鈴香被告「連絡しないで家を出たからだと思う」

弁護人「帰ってからはどのように暮らしていた?」

鈴香被告「1、2カ月は監視つきのような状況だった」

弁護人「具体的には?」

鈴香被告「たばこを買いに行くにも、家から100メートルなのに、玄関から立って見ているとか、買い物に行くときには連れていかれ、1人にならないようにという感じだった」

弁護人「仕事は?」

鈴香被告「しようとすれば自由になれると思い探し始め、能代のレストランでウエイトレスになった」

弁護人「そのほかの仕事は?」

鈴香被告「そこに集まる飲み屋のママさんたちに誘われ、夜ホステスのようなことを1カ月から2カ月していた」

弁護人「父に見つかったことは?」

鈴香被告「あった」

弁護人「具体的には?」

鈴香被告「帰宅時間はいつも同じ1時か2時で決まった時間なので、真っ暗な部屋に帰ってきたとき、『待て』と声をかけられ、びっくりした」

弁護人「それからは?」

鈴香被告「『お前な、ホステスしているのは分かっているんだ。芸者にするために育てたのではないんだ』と、殴るける、髪をつかんで引っ張り、引きずり回されたりしました」

弁護人「暴力はその後もあったか?」

鈴香被告「それが最後だったと記憶している」

弁護人「それからの生活は?」

鈴香被告「幼なじみと2人でドライブやカラオケに行っていた」

弁護人「遊んでいるとき前の夫と知り合った?」

鈴香被告「平成5年の秋ごろ、能代の浜で『逆ナンパ』という形で会った」

弁護人「前夫とはどう交際していた?」

鈴香被告「前夫の友達と自分の友達と4人でドライブ、カラオケ、パチンコなどをしていた」

弁護人「2人で会うことは?」

鈴香被告「最初のうちはそういうことはなかった」

弁護人「平成6年1月に、駆け落ちするように出ていったのはなぜ?」

鈴香被告「『川治のほうに荷物がまだあるので、取りに行きたい。できれば、そっちで暮らしたい、連れてってくれないか』と頼んだ」

弁護人「前夫は了解した?」

鈴香被告「はい」

弁護人「反応は?」

鈴香被告「まるで近所に買い物に誘ったような感じで、『いいよ』と言った」

弁護人「一緒に住むことを確認したのか?」

鈴香被告「別に…。能代に何かしなくちゃいけないということもないし、いいよというようなことを言っていた」

⇒(4)「掃除は苦手」「パチンコでは借金」