第32回公判(2012.3.5) 【被告人質問】

 

遺族に対して「誤解している。真実を知って」

木嶋被告

 首都圏で起きた男性の連続不審死事件で、殺人などの罪に問われた木嶋佳苗被告(37)の裁判員裁判の第32回公判が5日、さいたま地裁(大熊一之裁判長)で開かれた。検察側が木嶋被告に「最後の質問」として被害者と遺族への思いを聞くと、木嶋被告は遺族に対し「誤解している。真実を知ってほしい」と述べた。この日で検察側の被告人質問はほぼ終了した。

 この日は主に、東京都千代田区の会社員、大出嘉之さん=当時(41)=殺害事件に関する質問が行われた。大出さんは平成21年8月、富士見市の駐車場に駐車中の車内から遺体となって発見され、弁護側は自殺したと主張している。

 この日検察側は、木嶋被告が大出さんと最後に会った翌日、他の交際男性に「心が弱っているときのパートナーの存在は心強い」という内容のメールを送っていたと指摘。さらに、寺田隆夫さん=当時(53)、安藤建三さん=当時(80)=の死亡後にも「気がめいる」という内容のメールを交際男性に送っていたとして、「いずれもあなたが殺害したから精神的に弱っていたのでは」と追及した。木嶋被告は「違います」と否定した。

 また、木嶋被告は車を所有しているのに、事件当日は大出さんが借りたレンタカーで移動している理由を問われると、木嶋被告は「(大出さんの)運転技術が分からず、(自分の車を)運転させるのにためらいがあった」と述べた。「自分の車では練炭で殺害できないからレンタカーを借りたのでは」と指摘されると、「違います」と述べた。

 検察側は「最後の質問」として、死亡した男性3人と遺族への思いを木嶋被告に聞くと、3人に対しては「別れ話が原因で自殺したならば申し訳ない」と、遺族に対しては「誤解している。真実を知ってほしい」などと述べた。

⇒第33回公判