×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

初公判(2010.11.24)

 

(5)第1発見者の留学生「人生であんな驚いたことない」 予行練習?のビデオ撮影も

山本被告

 中央大キャンパス内で同大理工学部の高窪統教授=当時(45)=が刺殺された事件の捜査報告書を読み上げていく検察官。内容は、殺人罪に問われた中央大の卒業生で家庭用品販売店従業員の山本竜太被告(29)の犯行準備状況に移っていった。犯行の計画性を明らかにしていく狙いがあるようだ。

検察官「犯行に使われた刈り込みばさみやヤスリについて捜査したところ、神奈川県平塚市内のホームセンター(公判では実名)で、平成20年9月28日に購入されたことが分かりました」

 検察官は大型モニターに店の販売記録などを映し出し、裁判員らにこう説明した。山本被告は犯行の3カ月前に凶器を準備していたという。

検察官「続いて、デジタルカメラの購入について説明します。犯行前に山本被告がデジタルカメラを購入していた事実が判明しました」

「インターネットショッピング企業(公判では実名)に照会したところ、山本被告は20年11月21日にデジタルカメラを購入していた事実が分かりました。SDカードが内蔵されており、データを復元したものをモニターに映します」

「準備ができるまでしばらくお待ちください」

 モニターに映し出されるまでの間、法廷は静まりかえった。うつむきがちに映像が映し出されるのを待つ山本被告。数十秒後、準備が整った検察官が切り出した。

検察官「お待たせしました。復元したSDカードのデータには中央大1号館の中央階段や廊下が撮影されていました。撮影されたのは20年11月26日です」

 そう説明した後にモニターに映し出されたのは、38枚の静止画と4本の動画だった。静止画は4枚ごとにモニターに映し出された。

 撮影されていたのは、事件の現場となった中央大1号館の廊下や階段など。中には犯行現場になったとみられるトイレの内部やドアノブ、鏡に向かって撮影したものなどが含まれていた。山本被告は映像が映し出された数分間の間、自分の正面に位置する法廷右側の大型モニターをじっと見据えていた。

検察官「引き続き、4本の動画を再生します。映っている映像はほとんど同じですが、それぞれ別に撮影されたものです」

 4本の動画ともカメラは1号館とみられる廊下の中央に置かれ、山本被告と思われる男が、カメラの手前から奥に向かって歩き、途中で右の通路に入っていった。その後、すぐに通路を引き返して廊下の奥まで歩き、廊下の一番奥まで達したところで振り返って、カメラに向かって走ってくる−という内容だった。カメラに映った男は、逃走経路やいざというときの目撃情報の様子について確認しているようだ。

 動画が音声無しで再生されていたため、法廷は不気味な静寂に包まれた。山本被告は、変わらずじっとモニターを見つめ、裁判員たちも手元のモニターを険しい表情で見つめた。

検察官「撮影されていたデータは以上となります」

 このほかにも、検察官から、山本被告が12月1日と4日にインターネットで双眼鏡やバットケースなどを購入していたことが指摘された。

 検察官の説明は、犯行当日直前の山本被告の行動に移る。

検察官「続いて犯行当日の休暇取得についての捜査報告です。1月10日の勤務状況表に(犯行当日の)1月14日に欠勤すると書き込んでいることが判明しています」

 犯行当日の高窪教授の行動についても検察官が説明する。通勤に利用していた春日駅の防犯ビデオの映像から、午前9時57分に改札を出ており、同10時過ぎには中央大に到着しているのを複数の職員や学生が目撃していたという。高窪教授は学校に到着してから、わずか20分あまりの間に殺害されたとみられている。

 ここで、犯行直前の山本被告の行動も明らかにされた。平塚駅から後楽園駅の足取りを再現した写真がモニターに映される。

検察官「山本被告は逮捕後、捜査官に東門から入ったと説明しました。7号館に設置された防犯カメラにも黒い服を着た男性が映し出されていました」

 モニターには当日の午前6時40分ごろに7号館付近を歩く男性の様子が映っていた。続いて検察官は目撃情報があったことも説明する。

検察官「清掃員3人が14日の午前6時40分ごろから午前7時ごろに黒っぽいロングコートを着た男性を目撃していました。そのうち1人は男性が6号館の部屋に入っていくのを目撃しています」

 犯行前の状況説明を終えた検察官は、目撃者らの供述調書の読み上げを始めた。最初は、第一目撃者の留学生だ。

検察官「私は事件当時交換留学生として中央大学に在籍していました。そこで偶然、校舎のトイレで血だらけになっている男性を目撃しました。私の人生の中であのときほど驚いたことはありません」

 この留学生は前日から校舎に泊まっており、犯行当日の午前10時22分ごろ、「ドン」という音を聞いたと証言した。検察官は調書の読み上げを続ける。

検察官「トイレに入る少し前に、知らない男とすれ違いました。黒っぽいコートを着て、メガネをかけており、目は心配そうにおびえていました」

「そのままトイレに入ると血だらけの男性が倒れていました。自分の部屋からトイレまでは40秒あまりで、男の姿を見たのは午前10時23分ごろだと思います」

 悲鳴を聞いた理工学部3年(当時)の学生の供述調書も読み上げられた。

検察官「午前10時過ぎに『うーわー』という声を聞きました。せっぱ詰まった悲鳴のようでしたが、特に調べたりはしませんでした。だって学校内で殺人が起こるとは思わないでしょう」

 6人の裁判員は、終始険しい表情で手元のモニターを見つめていた。

⇒(6)「コートのすそは風でふくらみ」「非常階段のドアを肩で押すように」…逃走状況を詳細に語る目撃者