×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

Free Space

(10)被告にDVの本差し入れ

歌織被告の母親の証言は、なかなか検察側とかみ合わない。たまらず河本雅也裁判長が『証人、質問をよく聞いてください』と注意した。

検察官「検察官調書では、ボーナスと給与を折半するという話は、祐輔さんが言い出したことにはなっていないが?」

証人「話したが、『あり得ない。祐輔さんが別れようとしているのに、なぜそういうことを言うのか』と言われた」

検察官「本当にそんなこと言ったの?」

証人「言ったと思う」

検察官「思う?」

証人「いや、言った」

検察官「警察官2人に不満は?」

証人「いえ、丁重に接してくれた」

検察官「(警察の)供述調書の内容は確認したか?」

証人「した」

検察官「間違いはなかったか?」

証人「あったが手直ししてもらった」

検察官「どこを?」

証人「多数あった。言い回しで全然違うところもあった」

検察官「どこか?」

証人「申し上げられない。祐輔さんとの出会いの状況とか、別れるときとか…」

検察官「(平成18年)11月22日の給与折半の話は、警察の調書でもそう(祐輔さんが言い出したことに)なっていないが?」

証人「申し上げた」

あいまいな証言を続ける証人に、検察側は時折いらだったような表情で矛盾点を突いていく。

検察官「(犯行当日の)平成18年12月12日、祐輔さんが遅く帰ってきた日に『給料もボーナスもびた一文お前には渡さない』と言われたと言っていたよね?」

検察官は冒頭陳述で、歌織被告が祐輔さんさんからこう言われたことを、12月14日ごろに母親に電話で打ち明けた、と指摘している。

証人「11日の電話で聞いた」

検察官「11日? 被告と祐輔さんが話し合うのは12日の予定なのに?」

証人「そういう言葉は何度もあったので」

検察官「14日に祐輔さんがいなくなった時にも聞いたか?」

証人「はい」

裁判長「聞いているんだね?」

証人「(うなずく)」

検察官「(歌織被告は)いつ暴力を受けたという話だったのか?」

証人「12日に、(祐輔さんが)約束を守らず帰って来なくて、口論になり、暴力を受けたと」

検察官「具体的にはどういう暴力を?」

証人「口論になって暴力をふるわれたと」

検察官「内容は聞いていないのか?」

証人「はい」

検察官「けがをしたか確認したのか?」

証人「どんなけがかは聞かなかったような気がする」

検察官「なぜ聞かなかった?」

証人「…」

検察官「わからない?」

証人「…」

検察官「(調書を取った時)暴力があったことを検察官に話したか?」

証人「話した。検察官に『どういう暴力か?』と聞かれ、『詳しい内容はあれですが、殴ったり髪の毛をつかまれたりしたことがたびたびある』と話した」

検察官「12日の暴力については聞いていないのか?」

証人「祐輔さんが遅く帰ってきて…」

質問に答えられない証人に、思わず裁判長が口を出した。

裁判長「だから、暴力の内容は聞いていないんですか?」

証人「はい」

裁判長の問いに暴力の内容を聞いていないこを認めた証人。検察側は質問の矛先を変えた。

検察官「歌織被告が逮捕された後、面会したか?」

証人「平成19年9月3日に、一度だけした」

検察官「どんな言葉を?」

証人「『本当にそうなの?』と言うだけだった」

検察官「『そうなの』とは、祐輔さんを殺して捨てたということか?」

証人「(うなずく)」

検察官「歌織被告はなんと答えたか?」

証人「『そうです』と」

検察官「何か頼まれたか?」

証人「ない。私は頭が真っ白で、なんと言ったらいいかわからなかった」

検察官「歌織被告から手紙を読んで欲しいと言われた覚えは?」

証人「頭が真っ白で、(歌織被告の)姿を見ただけで、何がなんだかわからず、飛び出してしまった」

検察官「本の差し入れは?」

証人「した」

検察官「どんな本?」

証人「最初のころ、DVについての本を3冊くらい」

被害者に落ち度があることを証明しようとしたともとれる本の差し入れに、傍聴席にいた祐輔さんの遺族が思わずざわめく。歌織被告は髪の毛をかき上げて興味のない様子だ。

裁判長「傍聴席は私語をしないようにして」

怒りが収まらない遺族。検察官からも『私語を慎むように』とたしなめられる。

検察官「歌織被告と手紙のやりとりは?」

証人「今はしていない。昨年の夏くらいまでしていた」

検察官「歌織被告から手紙をもらったか?」

証人「はい」

検察官「祐輔さんの遺族に手紙を書いたのはいつか?」

証人「昨年11月」

検察官「それまでは書いていないのか?」

証人「すみません…。毎日書いていたが、どのような言葉を連ねても受け入れてもらえるわけないと思ったので…」

検察官「そのように書けばいいのに、書かなかったのはなぜか?」

証人「すみません」

検察官「手紙を見たが、かなり大きな字で3枚。書くことがなかったのか?」

証人「…」

検察官「歌織被告とはかなりの手紙をやりとりしているようだが、なぜもっと早く出せなかったのか?」

証人「弁護士さんから止められていた。とりあえず、きちんと調べが終わるまでは、と」

検察側は、被害者遺族に対する証人の対応についてさらに詳しく追及していく。

⇒(11)手を合わせる母、目そらす遺族