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「裁判とはだれのために行われるのか」」…遺族がコメント発表

 秋田県藤里町の連続児童殺害事件の被害者、米山豪憲君=当時(7)=の両親が14日、コメントを発表した。殺人と死体遺棄の罪に問われた無職、畠山鈴香被告(36)を1審に続いて無期懲役(求刑死刑)とした仙台高裁秋田支部判決について、仙台高検が上告を断念したことへの無念さなどをつづっている。

 コメントはA4用紙2枚で「息子の無念が晴れるどころか、この世の無情さに呆然(ぼうぜん)としております。裁判とはだれのために行われるのでしょうか」「凶悪犯の人権を手厚く保護し、税金をつぎ込んで、社会復帰できる道を切り開いている」と心のうちを告白した。

 さらに「仙台高検には結果はどうあれ最後まで志を貫いてほしかった。組織的な職務放棄と言わざるを得ない。怒りを通り越し正義感のなさ使命感のなさに失望すら覚えます」との検察批判に加え、控訴審判決についても「理解できない部分が少なくない」「類似事件にこの判例が影響を及ぼすことを危惧(きぐ)せずにはいられません」などと疑問を呈した。

 控訴審判決をめぐっては、検察側が上告を断念した一方で、鈴香被告は上告期限の8日、判決を不服として上告している。

 先月25日の控訴審判決では、鈴香被告の長女、彩香ちゃん=当時(9)=への殺意を認め、豪憲君の殺害動機について「彩香ちゃん殺害の嫌疑をそらすため」と認定する一方、用意周到な計画性がなく、彩香ちゃん事件でも利欲目的ではないなどの理由で死刑を回避した。

 高裁判決によると、鈴香被告は平成18年4月9日、彩香ちゃんを藤里町の藤琴(ふじこと)川の橋の欄干から突き落として殺害。同年5月17日、同町の自宅で、豪憲君の首を腰ひもで絞めて殺害、遺体を能代市の市道脇に遺棄した。

⇒弁護側上告取り下げ 懲役確定