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(2)「人の迷惑を顧みない人たち」マスコミ批判は雄弁に

鈴香被告に対し、「ふーん」や「あ、そう」といった言葉を挟みながら、フランクな口調で質問を続ける竹花裁判長。次に、豪憲君殺害の罪をなすりつけようとした人物について問い始めた。

裁判長「元彼氏(公判では実名)について、警察に対し、恋人としてつきあっていたけど、(事件の)前の夏に(関係が)切れたと言っていたけど、なぜそんなことを?」

鈴香被告「付き合ったり別れたりを何度も繰り返して、夏に向こうからそういうことを言ってきたので自分も『いいよ』とメールで話して…2、3週間後に元彼氏からもう一度やり直そうと…。そういうのの繰り返しで、母にも別れたと言ったし、自分としては気持ちがないということを考えて」

裁判長「でも、自分の気持ちは切れていた訳じゃないでしょ?」

鈴香被告「どちらかというと、友達の延長のような関係でした」

ここから、竹花裁判長は、核心に触れる。

裁判長「警察に、豪憲君を殺したのは元彼氏じゃないか、と話していたけど、それは関係あるの?」

鈴香被告「ないです」

裁判長「そのあたり、説明してくれる?」

鈴香被告「…」

裁判長「説明できない?」

鈴香被告「…」

裁判長「当時(事件前)、元彼氏に悩みを打ち明けてたし、自殺未遂後は元彼氏が看病してくれるなど、心配してくれましたね。でも犯人にしようとした。そのあたりの心理は?」

鈴香被告「…何も考えていなかったと思います」

1審では、鈴香被告が豪憲君殺害の罪を複数の人になすりつけようとしたことが検察側によって明らかにされている。が、そのうちの1人が元彼氏だったというのは、今回が初めて。彩香ちゃんをかわいがってくれていたという元彼氏に、鈴香被告は「何も考えず」犯人に仕立て上げようとしていたことが、裁判所の質問で明らかになった。

さらに質問を続ける竹花裁判長。今度は、周囲に対する怨恨(えんこん)が事件につながったのではないかという疑念について問いかける。

裁判長「米山豪憲君の家族に対し、事件の前にひっかかるところはあった?」

鈴香被告「一つもありません」

裁判長「それは間違いないといえる?」

鈴香被告「はい」

裁判長「彩香ちゃんの死後は?」

鈴香被告「感謝の気持ちはありました」

裁判長「恨みは?」

鈴香被告「ありませんでした」

裁判長「今だから言うのではなく?」

鈴香被告「はい」

裁判長「彩香ちゃんの同級生に関しては?」

鈴香被告「なかったと思います」

裁判長「ひっかかるものとか、恨みとかは?」

鈴香被告「恨みっていうか、子供の姿や声を聞くのがつらかったです。彩香と同年代や下の子供たちをみると、彩香がこれくらいの年にはこうだったとか思いだして」

裁判長「その子たちへの気持ちは? 元気だから嫌だとか?」

鈴香被告「ありませんでした」

裁判長「間違いなく言える?」

鈴香被告「はい」

裁判長「近所の住民への恨みは?」

鈴香被告「いいえ」

裁判長「彩香ちゃん事件後も?」

鈴香被告「いいえ」

次々に怨恨の感情について問い合わせる竹花裁判長に対し、恨みはなかったと答える鈴香被告。しかし、一つだけ強い恨みをはき出す場面が。

裁判長「マスコミに対しては?」

鈴香被告「豪憲君事件までは接触なかったし、特に恨みとか、嫌な人たちとは思っていませんでした」

裁判長「その後は?」

鈴香被告「かなり持つようになりました」

裁判長「具体的には?」

鈴香被告「人の迷惑を顧みないし、言葉をそのままでなくねじ曲げて伝える人たち。それから、うわさとか、そういうのを自分たちの言葉ではないという形で流す人たち。マスコミに関しては数え切れないほど」

ひとしきりマスコミ批判をした鈴香被告。竹花裁判長は、1審で鈴香被告が豪憲君殺害事件直前に計画していた誘拐事件を、なぜ自ら口にしたのかについて説明を求め始める。

裁判長「あなたは誘拐事件を起こそうとしたけど、実行には至らなかったと言ってます。なぜその話を話す気になったのですか? わざわざ言わなければ分からなかった話だけど、なぜいうようになったのですか?」

鈴香被告「そのとき、自分で迷ったんですけど、正直に言ったつもりです」

裁判長「話した方が自分のことを分かってもらえると思ったように感じるけど。こういうことを分かってほしい、こういうことを話したかった、ということがあれば分かるんだけど?」

鈴香被告「…」

裁判長「自分を理解してもらいたいというような感じがしたんだけど?」

鈴香被告「どういう気持ちをしていたかは覚えていません」

裁判長「誘拐計画は事実なのですか?」

鈴香被告「(豪憲事件前日の5月)16日は本当です。(事件当日の)17日は(誘拐に)行ったか行かないかはちょっと記憶がないです」

誘拐計画については前回公判で検察側も鈴香被告に問いただしている。誰も知らない話を捜査段階で自ら語り、1審の弁護側による質問でもしっかりと認めていた鈴香被告。控訴審ではそんな話まで「17日の記憶はない」と証言を後退させたことに関し、竹花裁判長は疑念を抱いたようだ。

⇒(3)「静かに暮らしたかった。それだけ」