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(19)事件後にマンガ買ったのは…検察「お姉さんかな?」

鈴香被告の弟に対する証人尋問は最終盤へ。検察側の突くポイントは細部にわたり、鈴香被告の「マンガ疑惑」へと話題は移る。

検察官「(彩香ちゃん事件の5日後の)4月14日午後7時ごろ、鈴香被告とコンビニエンスストアに行った?」

証人「彩香がいなくなったがよく分からず、週刊誌に何か書いていないかなという確認と、私がたばこを買いたかったということで…」

検察官「マンガの立ち読みは?」

証人「…しました」

検察官「警察で調べたところ、マンガを買っているようだ。あなたが買った?」

証人「買ってない」

検察官「お姉さんかな?」

証人「見ていないので分からない」

米山豪憲君の両親に対し、弟が弔問をしようとした話を確認し、検察側の尋問は終了。裁判官が締めの質問に入る。

裁判官「父の入院後の介護は、証人から見ても鈴香被告が中心だった?」

証人「はい」

裁判官「鈴香被告がやることになったのは?」

証人「母も私も正社員ではないが仕事を持っており、手があいていたのが姉だった。姉に任せっきりで、協力らしい協力ができなかった」

藤井俊郎裁判長もバトンを受ける形で、介護の実態に関心を示した。

裁判長「鈴香被告は父親の介護で愚痴をこぼすこともあったというが、逆にやりがいを感じているようなことはあった?」

証人「父の介護の少し前に、ヘルパーの資格を持っていたので、実践できてうれしいとは言っていた」

裁判長「証人が彩香ちゃんに会う頻度は?」

証人「18年に入るころには夜こなくなった。その前はほぼ毎日、30分や1時間程度だが顔は合わせていた」

裁判長は最後に、鈴香被告に対して行われていた精神鑑定の結果が出たことを受けて、鑑定書の証拠調べを行うと突然宣言した。

採用については検察側が「不同意」、弁護側が「同意」としたが、藤井裁判長が採用して調べることを決定。彩香ちゃんが橋から転落した際の「健忘」は認められるものの、「鈴香被告が豪憲君を殺害し、死体を遺棄した際の責任能力が著しく損なわれていたとは判断し難い」とする主文の要旨を告げた。

法廷は午後5時35分に閉廷。半日かけて親族2人の思いを聞いた鈴香被告は、淡々とした様子で心の中はうかがい知れなかったが、法廷を出る際に、傍聴席の母と弟を1回だけ見た。

次回公判は12日。豪憲君の両親に対する証人尋問と、鈴香被告の被告人質問が改めて行われる予定だ。

⇒第11回公判