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(6)驚愕「鈴香の日記」

鈴香被告に死刑を求めると語った米山豪憲君の父、勝弘さんの証言は続く。

検察官「被告の家族などから謝罪はあったか?」

証人「手紙は届いていない。昨年、荷物を取りに来たとき、電話が入った。鈴香被告の弟から、『彩香の叔父だから』と電話があった。豪憲に手を合わせたいと言っていたが、一言も謝罪の言葉はなかった」

検察官「片づけるついでに、といった感じだったのか?」

証人「ばつが悪いので、その前に電話しておこうということだと思った」

検察官「(訪問は)断った?」

証人「はい。法廷に今日まで毎回出ていて、休廷のとき、法廷には(傍聴に来ている)私たち夫婦と被告の家族が残ることがあるが、一度も謝りに来ない。表面上のパフォーマンスで、家族も謝罪の気持ちを持っていないんだろう」

検察官「傍聴は心情的につらいですよね?」

証人「はい」

検察官「でも少しでも真実が知りたいと思って傍聴してきた。被告の態度を見てどう思うか?」

証人「初公判で『変わった私を見てください』というようなことを言っていたが、その場で都合のいいウソをついて、都合の悪いことには黙秘。何も変わっていないと思う」

検察官「どうして豪憲君が死んだのか。被告がどう感じているのか、わずかながら期待があったと思うが、少しでも答えはあったか?」

証人「初公判の時から、もう少しまともなことを言うのかな、人として正直に言うかなと思ったが、死刑にしてくれなど、パフォーマンス。都合の悪いことは認めない。被告はきわめて危険な人物だ。こういった人物が手厚い保護を受け、のうのうと生きていけること、まして温情を受けて野放しにされることは絶対に許せない」

傍聴席では、米山豪憲君の遺影を持った親族が、鈴香被告に見えるよう遺影を掲げ続けている。しかし、鈴香被告は時折目を開けるものの、無表情のまま再び目を閉じた。

検察官「鈴香被告が反省していないと感じたのは?」

証人「前回の鑑定人の取り調べで出てきた日記だ」

公判を担当する検察官によると、鈴香被告は精神鑑定が始まった今年9月ごろから、日記を付け始めていたという。日記はほぼ毎日書かれていたが、被告人質問が行われる直前は書かれておらず、その理由を「被告人質問の練習がしたいから」と語ったという。その日記には、証人もびっくりのすごい言葉が並んでいた。

検察官「鑑定書に添付されていた日記だね。内容は覚えている?」

証人「だいたいの内容は。『彩香に比べて豪憲君を殺したのは反省はしているけれど、罪悪感はほとんどない。まだ子供が2人残っている』とか…。馬脚を現したな、と。反省していないな、と思った」

⇒(7)鈴香日記「彩香に比べ罪悪感ない」