第24回公判(2012.2.20) 【被告人質問】

 

別れ話を強調、寺田さん殺害否定

木嶋被告

 首都圏で起きた男性の連続不審死事件で、殺人などの罪に問われた木嶋佳苗被告(37)の裁判員裁判の第24回公判が20日、さいたま地裁(大熊一之裁判長)で開かれ、木嶋被告への2回目の被告人質問が行われた。東京都青梅市の会社員、寺田隆夫さん=当時(53)=殺害事件の当日の状況について質問された木嶋被告は、「別れ話になり、寺田さんはうつむいて涙を流していた」などと詳細に供述、殺害を否定した。

 木嶋被告は平成20年5月、結婚紹介サイトに登録、6月から寺田さんと交際を始めた。翌21年1月11日には2人で東京都内のホテルに宿泊し、結婚に向けての話を進めていた。

 寺田さん殺害事件では、「21年1月30日に練炭自殺に見せかけて殺害した」と主張する検察側と、「別れ話から自殺した」とする弁護側とで主張が真っ向から対立している。この日は弁護側が、事件当日に関して集中的に質問した。

弁護人「寺田さんが帰ってきたのは何時くらい?」

被告「午後8時半ごろ」

弁護人「どんな様子?」

被告「あいさつもなく、くたびれた様子だった」

弁護人「室内の様子は」

被告「トイレや浴槽が汚く、不衛生だった。泊まることはできないと思った」

 その後、2人で木嶋被告が作った料理を食べ、そこでの出来事などから別れ話に発展したいう。

弁護人「食事中の寺田さんの様子は」

被告「反応がなくて、がっかりした。無口なので、一緒に暮らしていけるのかしらと思った」

弁護人「それから?」

被告「今日、泊まるのはやめると話した」

 木嶋被告は「別れ話が進み、最後に私が『お互いのために終わりにした方がいい』といいました」と述べた。別れ際の寺田さんについて、「うつむいて涙を流していた」と説明した。

 また、木嶋被告は1月30日までに銀行口座を開設、通帳を寺田さんに渡し、1千万円近くの入金を受けていたという。寺田さんは30日、別れ話になったものの、この通帳を木嶋被告に返したという。

弁護人「別れ話の後、通帳については」

被告「『佳苗さんのために用意したので使ってください』と言うので、受け取った」

弁護人「通帳のお金は」

被告「料理学校の受講料の支払いなどに使った」

弁護人「別れた相手の金を使うことに、抵抗はなかったのですか」

被告「(寺田さんの)性格から返却を迫ることもないと思ったし、本人も了承しているので、(金を使っても)よいと思った」

 被告人質問は、21日の第25回公判でも引き続き行われる。

⇒第25回公判