第12回公判(2012.1.30)
練炭を寺田さん宅に宅配、自分で受け取り
さいたま地裁(大熊一之裁判長)で開かれている木嶋佳苗被告(37)=殺人などの罪で起訴=の裁判員裁判は、30日の第12回公判で東京都青梅市の会社員、寺田隆夫さん=当時(53)=殺害事件の核心に入った。検察側は、木嶋被告が犯行前に練炭を大量購入して寺田さん宅に宅配便で送り自分で受け取ったとして、周到な準備に基づく犯行であると指摘。一方、弁護側は「練炭は料理用だ」と主張している。
この日、検察側は証拠として、平成21年1月5日から2回にわたって、木嶋被告が練炭と練炭コンロを注文、同28日までに練炭16個とコンロ6個を受け取っていたとする購入履歴の表を提示。その上で、宅配の伝票などから、木嶋被告が同29日、犯行日の翌30日夜に到着するよう時間指定した上で、練炭などの入った段ボール3個を寺田さん宅に送った−と説明した。
さらに検察側は伝票のあて先と、受取人覧に書かれた「寺田隆夫」という字について、筆跡鑑定を行った結果、筆跡が同一で、木嶋被告が発送、受け取りをしたと指摘。寺田さんを練炭自殺に見せかけて殺害するため、木嶋被告が事前に練炭を購入、寺田さん宅に送ったと主張した。
弁護側は寺田さん殺害事件の冒頭陳述で、練炭について伝票に「調理器具」と記載されていることなどから、料理に使用するために送ったと主張している。
また、木嶋被告が犯行当日の30日夜に宿泊したとされる青梅市内のホテルの支配人が証人出廷。「被告は30日にツインルームに1人で泊まった」と証言、被告は寺田さん宅で練炭に着火した上でホテルに泊まった−とする検察側主張を裏付けた。一方、弁護側は反対尋問で「チェックイン後に被告が外出した可能性はある」という趣旨の証言を引き出し、被告はホテルを駐車場代わりに使っただけで、当日はホテルを出て寺田さん宅に泊まっていた可能性がある−と指摘した。
また、検察側証人として寺田さんの勤務先の上司も出廷。寺田さんの最後の出勤日となった30日の様子について「普段はボソボソと話す癖があるのに、30日ははっきりとした言葉で話していた。何かいいことがあったのかなと思った」と証言。検察側は寺田さんに自殺の兆候はなかったと主張した。