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(1)「主文!」そのとき全身ホワイトの歌織被告は…「DV継続」は認定

東京都渋谷区の外資系金融会社社員、三橋祐輔さん=当時(30)=の切断遺体が見つかった事件で、殺人と死体損壊・遺棄の罪に問われた妻の歌織被告(33)の判決公判。14回目で大きな節目を迎えた。

午前9時58分、東京地裁104号法廷に入廷した歌織被告は、白いシャツの上にダウン素材風の白いベスト、白いズボンという全身白色の姿。肩の下までまっすぐに下ろした長い髪には、少し茶色が混ざっている。弁護人の前のベンチに座ると、髪を1回かきあげた。

事件は発生当初から注目を浴びていたが、公判途中で2人の鑑定医がいずれも、歌織被告は犯行時には「短期精神病性障害」という精神疾患を発症し、「心神喪失状態と推認できる」との鑑定結果を報告。責任能力をめぐる争点がクローズアップされたことにより、改めて注目を集める状況に。歌織被告の責任能力を裁判官の3人がどう判断するかによって、量刑が非常に大きく左右されるためだ。

もし鑑定結果に則って裁判所が「心神喪失」と認定すれば、歌織被告は「無罪」になる。刑法の規定により刑事責任は問えないからだ。「心神耗弱」と判断しても刑は減軽される。鑑定結果の信用性を認めない検察側は「責任能力に問題はない」として、前回4月10日の公判で懲役20年を求刑している。

河本雅也裁判長「それでは開廷します。証言台に出てきて立って下さい」

裁判長は予定より1分早い9時59分に開廷を告げた。歌織被告は正面にゆっくり移動し、いすに腰掛けようとしたが、裁判長から「ちょっと立っていて下さい」と制止された。名前と罪名を形式的に確認し、裁判長はまず「結論」を告げた。

「主文。被告人を懲役15年に処する。未決勾留(こうりゅう)日数(判決までに勾留された日数)中、280日をその刑に算入する。以上が主文です。このあと、理由を述べますので座って聞いて下さい」

テレビやネットで速報するため、傍聴席にいた多数の報道関係者があわてて立ち上がり、次々と法廷を飛び出していく。歌織被告に変化があるようには見えず、心情は読み取れない。歌織被告はゆっくりといすに腰掛けた。

「まず、犯行の背景と罪となるべき事実について説明します」

「歌織被告は平成15年3月、祐輔さんと結婚したが、婚姻直後からドメスティックバイオレンス、いわゆるDVを受けるようになった。17年6月には、鼻骨骨折などの重傷を負う暴行を受け、約1カ月間シェルターに入った」

「祐輔さんが暴力を振るわないと約束したことから、歌織被告は再び祐輔さんと暮らすことになったが、その後もDVは続き、夫婦間のいさかいも絶えなかった」

裁判長は、ワインボトルで殴る、自宅で遺体を5つに分けるといった殺害の実行場面を読み上げた。もともと争いはなかったため、裁判所が認定した内容は、起訴状や検察側の冒頭陳述とほぼ同じだ。

だが、検察側が「歌織被告がシェルターから出たのを境に、祐輔さんのDVはなくなった」と主張していた点については違う判断を下し、祐輔さんのDVが続いていたと認定したことになる。「理由を説明します」と裁判長が告げた。

「証人らの供述や歌織被告の手帳の記載、祐輔さんの携帯電話の履歴その他の関係各証拠によれば、シェルターから出所した後も、暴行は『両手を上げてぶつかる』といった、直接的でない形で続いていた。また、周囲に歌織被告のことを悪くいい、自分に落ち度がないよう装う『囲い込み』が行われていた。よってこのように認定しました」

⇒(2)「幻覚」見ても完全責任能力あり 歌織被告は裁判長に視線