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(3)「キラキラ感」めぐって“反攻”する検察官

検察官は、検察側請求の鑑定人である金吉晴氏に対する質問を続ける。歌織被告が殺害時に心神喪失状態だったという鑑定になった根拠の一つが、歌織被告が感じたという「チカチカした感じ」だ。検察官は、この言葉について詳しく聞いていく。

検察官「(平成20年)2月20日の面談時にすでに、チカチカの話を聞いていたか?」

金鑑定人「はい。でも、こちらが先に聞いたかもしれない。本人が言ったかどうかというとあいまいだ」

検察官「この日の会話はICレコーダーに録音し、文章に起こしたんだね?」

検察官はここで、録音内容を文字化した文書を示す。弁護人が証言台に出てきて文書を見る。歌織被告は目を伏せ、興味がないと言いたげに顔を右側に背けた。

検察官「2月20日に金鑑定人と木村鑑定人が面談した。カギカッコに入っているのは鑑定人の言葉で、カギカッコに入っていないのが、歌織被告の言葉だね?」

金鑑定人「はい」

検察官「歌織被告が『ツリーが大きく見えた』というのに対して、鑑定人は『それ以外にチカチカしたツリーの飾りみたいなものは見えたか?』と聞いた。歌織被告は『飾りじゃなくて全体的にツリーみたいな感じ』と。鑑定人は『女性とかツリーと別に、チカチカしたものは? 以前に見たでもいいが』と質問し、歌織被告は『わからない』と答えている。この通りか?」

金鑑定人「細かい部分はわからないが、それでいい」

検察官「細かい部分がわからないというのはどういう意味か?」

金鑑定人「語尾とかは違うが、意味はこの通りだ」

検察官「6ページ目に、鑑定人が『映像にキラキラ感は?』と尋ね、歌織被告が『わからない』と答えている。歌織被告はいずれも『わからない』と答えているが」

金鑑定人「キラキラ感があったのは、『殺害後、公園がキラキラしていた』というところだ」

歌織被告が感じていたという「キラキラ感」。鑑定の重要なポイントだけに、検察官は詳しく聞きたいようだ。ここで河本雅也裁判長が、歌織被告に向かって言葉を投げた。

裁判長「被告は記憶と違うことがあったら、次回以降に聞く機会もありますから、メモを取ったり、弁護人と相談するなどしてください」

歌織被告は、裁判長の方を見て小さくうなずいた。検察官は続いて、歌織被告が鑑定人にあてて書いた手紙について質問していく。

検察官「手紙の作成時期は?」

金鑑定人「20日に(歌織被告に)会った後だと思う」

検察官「弁護人から渡されたんだね? その手紙は検察官にファクスで送ったよね?」

金鑑定人「そうだ」

検察官「この手紙で初めて幻視の見え方を述べたのかどうか、作成日付の確認をするために、手紙を示したい」

検察官は、今度は弁護人が鑑定人に渡した歌織被告の手紙のコピーを証言台の金鑑定人に示した。

検察官「1ページ目はファクスの頭ページ、2ページ目は弁護人が金鑑定人に送ったときの頭ページ。3〜27枚目が歌織被告の手紙だ。2月25日とあるが、これが作成日付か?」

金鑑定人「そうだと思う」

検察官「6〜7枚目に、右に『3』とあり、『映像の見え方』と題名が書いてある。ここに『脳波を調べたときのチカチカと同じで、映像が切り替わる感じだ』と書いてある」

金鑑定人「ありますね」

検察官「手紙の内容に『八百屋お七』の話が書いてあるというが、これは有名な歴史の話か?」

金鑑定人「はい」

検察官「フラッシュのように映像が切り替わったというのは2月20日ではなく、後日手紙に書いてきた?」

金鑑定人「そうだと思う」

検察官「手紙には『幻視の見え方を書いた理由』として、『先日の鑑定で、絵が光ってなかったかと聞かれたので』とある。これは『チカチカはなかったか』という質問のことか?」

金鑑定人「多分そうだと思う」

検察官「それ以外に同じようなことを質問したか」

金鑑定人「それ以外はないと思う」

検察官は、歌織被告の感じたという「キラキラ感」にこだわっている。鑑定人が鑑定時に誘導するかのように何度も『キラキラ感』について質問していたとすれば、面接時に『わからない』と答えていた歌織被告が、後日手紙に書いてきた理由も説明できる。そうした誘導がなかったかどうか、検察官はさらに質問を続ける。

検察官「文字化された録音内容を見ると、2月20日は何度も繰り返して『映像は光っていなかったか』と質問しているが、歌織被告は『わからない』と答えた」

金鑑定人「(20日は)映像そのものが鮮やかにキラキラしていたかと聞いた。手紙にあるのは映像が切り替わるキラキラ感だ。それについては20日には聞いていない」

検察官「歌織被告は先生の質問に『わからない』と答え続けた?」

金鑑定人「はい」

検察官「手紙には、映像の見え方が脳波の検査に似ていると書いてある。この検査は2月15日のことか?」

金鑑定人「それ(15日)以外には検査していない」

検察官「2月20日(の面談)以前のことなのに、『わからない』と答えていた」

金鑑定人「はい」

ここで、歌織被告が突如、メモを取り出して何かを書き始めた。右手に持った黄色いペンが、左から右に動く。歌織被告はふてくされたような表情で、後ろに座る弁護人にメモを差し出すと、弁護人が目を通してうなずいた。

⇒(4)殺害後の歌織被告は「穏やかな感情