第4回公判(2008.8.28)

 

(2)またまた法廷で声を詰まらせ、涙を流し…

羽賀被告

 弁護人はさらに質問を続け、歯科医が羽賀研二被告の逮捕を知った経緯などを聞いた。

弁護人「羽賀被告の逮捕を知ったのは」

証人「テレビで」

弁護人「あなたは昨年から今年にかけて何がありました」

証人「まず左目が見えなくなり病院通い。手術は今年の3月です」

弁護人「最近になって羽賀被告と会ったとき、どんな話をした」

証人「お互い大変だったねと」

弁護人「それはあなたの目が見えなくなったことと、羽賀被告の逮捕のことですね」

 羽賀被告は逮捕された時のことを思い出したのか、持っていたハンカチで目頭を押さえた。

証人「はい」

弁護人「その他にどんな話をした」

証人「私がかつて知人男性と会っていたことを知り驚いていた」

 羽賀被告は7、8年前に歯科医を知人男性に紹介し、未公開株の話を3人でしたことを忘れていたという。

弁護人「そのとき羽賀被告は、知人男性がもともと1株40万円だということを知っていたはずだとあなたから聞いたのですね」

証人「はい」

弁護人「それであなたが証言することになった」

証人「はい」

 続いて検察側の尋問に移った。

検察官「医療関連会社の株のことを聞いたのはいつごろ」

証人「平成12年か13年ごろ」

検察官「何をしている会社か聞いたのか」

証人「いいえ」

検察官「あなた自身は株を買おうとしなかったのか」

証人「1株40万円なら少し買おうかと思ったが、120万円なら手が出ないなと」

検察官「羽賀被告に本当に値が上がるのかって聞いたか」

証人「いいえ」

検察官「ならどういうかたちで未公開株の話は終わった」

証人「120万円では無理だなということで」

検察官「1株40万円なら10株買うとか具体的に言ったのか」

証人「はい」

検察官「あなたと羽賀被告と知人男性3人で会ったとき、どうして未公開株の話になったのか」

証人「それは覚えていません」

検察官「羽賀被告と知人男性のどちらが何を言っていたか覚えている部分は」

証人「株の話は確かですけど他は…」

検察官「医療関連会社の名前は」

証人「出ていました」

検察官「他にどんな話を」

証人「知人男性が億単位で買ったという話しぐらいしか思い出せません」

検察官「知人男性には何か聞いたか」

証人「40万円のものを120万円で買ってもうかるのかと」

検察官「その答えは」

証人「何十倍にもなるから損はないと」

 検察官はこれらのやりとりは羽賀被告が席を離れていた間だということを確認して質問を続けた。

検察官「どうして羽賀被告が席を立っている間に聞いたのか」

証人「本当にもうかるのか私が疑っているみたいだから」

検察官「あなたの認識では、知人男性は1株40万円と知っていると思っていたか」

証人「はい」

検察官「知人男性は1株120万円で買っていると思っていたか」

証人「はい」

検察官「それなのに羽賀被告の前で言うのをためらわれたのはなぜ」

証人「羽賀被告に失礼じゃないかと」

検察官「羽賀被告から買った知人男性に対して失礼ではないのか」

証人「そのときはそう思わなかった」

 検察官は終始いらついた様子で質問し、15分ほどで終了。裁判官が細部を何点か確認して羽賀被告への質問が始まった。羽賀被告はハンカチを手に持ったまま証言台の席に座った。

弁護人「歯科医に未公開株を売ってあげると言ったか」

羽賀被告「売りたくないという気持ちがあったから、1株40万円で買うのに借金して買うと言った」

弁護人「歯科医に売り込んではないと」

羽賀被告「はい」

 弁護人は、羽賀被告が歯科医と数年ぶりに会ったときの質問に変えた。

弁護人「事件の話をしたか」

羽賀被告「はい。いったいどうしたんだと。知人男性とはあんなに仲がよかったのにと言われ…」

 泣き出した羽賀被告はハンカチで鼻を押さえ、声を詰まらせながら答えた。

弁護人「歯科医には他に何を聞かれた」

羽賀被告「懲役8年の求刑をされたことを説明して」

弁護人「詐欺のことは」

羽賀被告「何が起きたんだと。話し合いで済むことじゃないかと」

 さらに弁護人は、羽賀被告が知人男性を歯科医に紹介したいきさつを確認し、質問を続けた。

弁護人「詐欺になるとの認識はあったのか」

羽賀被告「私が1株40万円で仕入れたことを聞いてなかったと急に(知人男性に)法廷で言われて」

弁護人「歯科医はそのことについて何と」

羽賀被告「そんなことあるかって。ぼくは(歯科医は)40万円を120万円でと聞いたよと」

弁護人「もっと具体的に」

羽賀被告「ぼくは(歯科医は)知人男性に会って40万円の株を120万円で買っていいんですかって聞いたよと」

 羽賀被告は弁護人からの質問の後半はずっと涙声で答え、無実であることを強調。その後の検察側は歯科医に未公開株の話をした時期などについて聞き、わずか10分足らずで終了した。

 この日、渡辺被告への質問はなく、公判は約1時間40分で閉廷。来月8日に再度知人男性の証人尋問が行われる。

⇒第5回公判