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(1)いよいよ結審、「死刑」を求める検察側の根拠は…

秋田県藤里町の連続児童殺害事件で殺人と死体遺棄の罪に問われ、1審で無期懲役判決を受けた無職、畠山鈴香被告(35)の第6回控訴審が29日午前10時、仙台高裁秋田支部(竹花俊徳裁判長)で開かれた。昨年9月25日に第1回公判が行われた控訴審も、今回で結審を迎える。これまでの公判の推移から、検察側は死刑を、弁護側は有期刑を求めていくことが確実だが、最終弁論で、あらためて双方がどのような論拠を駆使し、自説を展開させていくのかが、今公判の焦点だ。

午前10時、鈴香被告が入廷してきた。周囲はすっかり雪化粧が施され、冬の寒さを感じさせる仙台高裁秋田支部。いつものように黒のジャケットに黒のズボン姿の鈴香被告。ジャケットの内側には白いセーターを羽織っていた。

廷内に軽く一礼し、落ち着いた様子で席に着く鈴香被告。竹花裁判長が開廷を告げ、検察側に弁論を始めるよう促すと、3人並んだ検察官の1人が立ち上がって声をあげた。

検察官「まず、時間の関係があるので、一部は省略します」

こう述べると、まず、事件の概要について説明を始めた。

検察官「彩香ちゃんに対する殺害事件について、殺意を持って藤琴川に突き落としたこと、豪憲君に対する殺害事件で、犯行時の被告に責任能力があったことは証明されました。豪憲君殺害の主たる動機が彩香ちゃん殺害事件で、警察や地域社会から被告人に向けられた疑いの目をそらす点にあったことも認められます」

そして、量刑に言及する検察側。

検察官「犯罪の悪質性や、豪憲君の父親、母親の峻烈な処罰感情に照らせば、被告に対し死刑を選択することはやむを得ず、1審の無期懲役の破棄は免れません」

1審時から一貫して死刑を求めてきた検察側だが、ここでも豪憲君両親の処罰感情などを強調しながら死刑を求めてきた。

鈴香被告は、軽く背中を丸め、両手をひざの上にのせた格好で、微動だにせず検察側の死刑求刑を聞き入っている。

その後、検察側の弁論は細部に入っていった。まずは、彩香ちゃん殺害にいたる経緯の説明が始まる。

検察官「(彩香ちゃん)出生後から、母としての愛情を持つことができず、犯行時、彩香ちゃんを疎ましいと感じていたことは明らかです」

アトピー性皮膚炎だった彩香ちゃんを風呂に入れず、週末は同じ服を着せていたこと、彩香ちゃんが話そうとしていた日常生活について、話を聞こうともしなかったこと、小学校にあがるまで、彩香ちゃんが自分の名前を読み書きできず、時計の見方も教えられなかったことなど、鈴香被告の育児放棄の状況が、次々と読み上げられる。

検察官「被告は、彩香ちゃんの健全な発育に、注意も関心もはらっていなかったのです。被告は、仕事があったからと言っていますが、考慮するに値しません」

母親としての役割を果たしていなかった鈴香被告を糾弾する検察側。続いて彩香ちゃんに対する殺意が生まれる経緯を語り始めた。

検察官「平成16年以降、被告は閉塞(へいそく)状況にあった藤里町での生活から逃れて上京し、新たな生活を始めたいと願っていましたが、彩香ちゃんの存在が新生活を始める障害になると感じ、疎ましさを募らせていきました。それが、彩香ちゃんに対する殺意を抱く主要な動機となっていました」

そして弁論は豪憲君殺害事件へ。豪憲君殺害前の平成18年5月3日に行った同級生への誘いかけの目的の説明を始めた。

検察官「被告は4月下旬の時点で、彩香ちゃん殺害の犯人と疑ううわさ話を耳にし、被告には殺害動機のない他人の子供を殺害することによって、自らに向けられた疑いの目をそらそうと考えました。そこで、5月3日、彩香ちゃんの同級生に彩香ちゃんの遺品を贈るとう口実で、被告宅に来るよう誘いかけたと認められます」

さらに、事件直前に計画していたという5月17、18日の2回に渡る児童誘拐計画にも言及。犯人との疑惑をそらすため、誘拐事件を起こそうとし、児童を物色していたと説明した。豪憲君殺害前から、児童殺害を念頭に動いていたということを印象づけたいようだ。

検察官「したがって、豪憲君に対する殺意が発生したのは、遅くとも被告が帰宅途中の豪憲君を被告宅に招き入れた時点からです」

豪憲君殺害は、突発的な行動ではなかったと説明する検察側。そして、弁護側が主張する事件前後の記憶の健忘を明確に否定しつつ、動機面を分析する。

検察官「豪憲君殺害の主たる動機は、被告に殺害動機のない他人の子供を殺害することで、自らに向けられていた彩香ちゃん殺害の犯人であるという疑いの目を他にそらすことにあったと認められます」

豪憲君殺害事件の際は、彩香ちゃん殺害の記憶を喪失していたという弁護側の主張にも、弁護側による精神科医の中島直医師による精神鑑定の意見書で否定されていると訴え、こう結論づけた。

検察官「被告は、記憶を完全に抑圧できたということはなく、彩香ちゃん殺害については認識していました。防衛規制で記憶を抑圧していたに過ぎず、完全な健忘は一度もありませんでした」

⇒(2)「まさに戦慄すべき残忍性」被告の人間性否定する検察側