(3)「重点を置いたのは彩香ちゃんの落ち方」
さらに弁護側は彩香ちゃん役の警察官の動きが不自然なことを指摘した。
弁護人「(彩香ちゃん役の警察官の)頭が橋の欄干の間から(川側に)出ているが、しがみつく動作もない。不自然ではないか」
証人「再現にあたり『こんな感じ?』と聞きながらやっている。取り調べではないので突っ込んだりはしない」
弁護人「(別の写真をみせて)彩香ちゃん役が身を乗り出しながら川を見ているが腰が引けていない。腰の位置について議論はなかったか」
証人「2人(彩香ちゃんと警察官)の実際の身長が違うので考慮した。議論はない」
弁護人「小学生の女児がそんな動作をするのは不自然では」
証人「あくまでも被告の指示通りにやった」
弁護人「より危険な姿にしてないか」
証人「一切ありません」
続いて弁護側は実況見分中の畠山鈴香被告の態度について追及する。
弁護人「見分中、被告が気分悪そうに腹を立てたりする様子はなかったか」
証人「していない」
弁護人「(見分写真の中の鈴香被告をみせ)嫌そうな表情では」
証人「写真によって瞬きしたりするので一概に言えない」
さらに弁護側は、彩香ちゃんが落ちる状況を複数回再現した際に鈴香被告役の足の位置が異なることを指摘。
弁護人「足の前後が変わっている。被告からその説明はあったのか」
証人「特にない」
弁護人「(彩香ちゃんが)落ちる際の実況見分は何回やったのか。写真では2回だけだが」
証人「実際は3回」
弁護人「(彩香ちゃん役の)足の位置が違っている」
証人「見分で重点を置いたのは彩香ちゃんの落ち方なので足の位置までは重視していない」
弁護人「最初の落とす再現では足の位置を聞いたのか。重心とか考えると重要だと思うが」
証人「聞いていない」
続いて、弁護士が入れ替わり、写真の枚数に比べ実況見分の時間が短すぎる点を追及した。
弁護人「調書の写真は79枚。使わなかった写真は何枚くらいあるのか」
証人「30枚程度」
弁護人「実況見分は何分かかったのか」
証人「20分程度」
弁護人「資料では9時44分から10時6分までの22分。(この時間で)本当に鈴香被告の指示、説明を受けながら、写真を撮りつつ見分をやったのか」
証人「やりました」
弁護人「正確性のためビデオを撮ろうとは思わなかったのか」
証人「はい」
再び、弁護人が入れ替わり、見分に居合わせた当時の捜査1課長ら警察幹部が口出ししていなかったのかを確認して弁護側の尋問が終わった。
検察側が再度、質問。落ちる見分を1回記していない理由を確認する。
検察官「落ちる再現は3回。うち2回は、彩香ちゃんが落ちる瞬間の顔の向きを鈴香被告が尻餅をついて見ておらず分からないので、(橋側と外側の)2通りやったと。もう1回はなぜ(調書に)載せなかったのか」
証人「その1回は彩香ちゃん役が不自然な落ち方をしてしまったので。私が『自然に』と注意した」
最後に裁判官が実況見分の時間の起点などを尋ね、午後3時32分に証人尋問が終わった。
その後、検察側は、次回から行われる被告人質問を前に、弁護士が不同意にした鈴香被告の供述調書や弁解録取書について、弁護側が裁判官に示すことを了解したものを法廷で読み上げた。
午後4時に公判は終了。次回は、10月29日、いよいよ鈴香被告本人への質問が始まる。