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(1)衝撃の新事実「子供を車で連れ去り、置き去りにすれば…」

秋田連続児童殺害事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職、畠山鈴香被告(34)の第6回公判が31日午前10時、秋田地裁(藤井俊郎裁判長)で開廷した。

前回に引き続き被告人質問に臨む鈴香被告は、襟の大きい薄いベージュのシャツに黒スーツ、黒ズボン、ピンクのサンダル姿だ。

これまで同様、少しうつむき加減になりながら、証言台の椅子に座った。

弁護人が立ち上がり、前回の質問の続きを続けた。

弁護人「前回に引き続いて質問していく。前回は、(彩香ちゃん水死の情報を集める)ビラを作ったけど、どこからも情報が寄せられず、頼りにしていたテレビ局からも放映しないと言われた、ということだが?」

鈴香被告「はい」

弁護人「ビラで情報が寄せられなかったことで、近隣の住民に悪い感情を持ったか?」

鈴香被告「いいえ」

弁護人「テレビ局が身を引いたことについて、悪い感情を持ったか?」

鈴香被告「悪い感情というか、がっかりした」

弁護人「テレビ局からは5月8日に連絡が入ったということだが、それまでに警察から情報はあったか?」

鈴香被告「ない」

弁護人「警察には悪い感情を持ったか?」

鈴香被告「はい。なぜきちんと捜査してくれないんだろうかと」

弁護人「きちんと捜査してもらう方法はないか、何か考えたことは?」

鈴香被告「もし、子供が関係する事件が起きたら、警察もマスコミも本腰入れて捜査してくれるのではないか、と」

弁護人「具体的には?」

鈴香被告「藤里や二ツ井の子供を車に乗せて、防犯スプレーとかで目を見えなくさせて、車に乗せて、能代かどこかに置き去りにしようと思った」

弁護人「それはいつごろ考えたのか?」

鈴香被告「5月10日ぐらい」

弁護人「実際に行動に出たことはあるのか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「いつ?」

鈴香被告「もっと後。運動会の後」

弁護人「ゴールデンウイークの最中、○○さん(実名)の家で、彩香ちゃんの同級生の○○ちゃん(同)に話しかけたことは?」

鈴香被告「はい」

弁護人「いつ?」

鈴香被告「5月3日だった」

弁護人「この日は、警察で壁を蹴ったときだが、この前後の事実関係は?」

鈴香被告「警察に行って戻った後だった」

弁護人「どのように?」

鈴香被告「いったん実家に戻って、その後藤里の家に行こうとして、その途中に寄った」

弁護人「○○さんの家は、二ツ井の実家と藤里の家の間ということだが、いつごろ行こうと思ったのか?」

鈴香被告「車の中だった」

弁護人「どうしようと思ったのか?」

鈴香被告「○○ちゃんに、写真の入れるところのあるぬいぐるみに、彩香が写っている写真を入れて渡そうと思った」

弁護人「ぬいぐるみと写真はどこにあったのか?」

鈴香被告「ぬいぐるみは藤里の家、写真は二ツ井の実家にあった」

弁護人「しかし、そのときは両方持っていなかった。途中で思いついたということか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「○○さんの家に行ったら、親はいなかったようだが?」

鈴香被告「子供はいたけど、親はいなかった」

弁護人「○○ちゃんには何を話しかけた?」

鈴香被告「…」

弁護人「どんな内容の話をしたのか?」

鈴香被告「思い出に持っていてほしい物があるのだけど、後で藤里の家か二ツ井の家に取りに来てくれないか、と話した」

弁護人「それ以外は?」

鈴香被告「…」

弁護人「誰にも言わないで、とは言わなかったか?」

鈴香被告「言った」

弁護人「なぜ?」

鈴香被告「彩香と仲良かった子が他にもいたら、その子たちにも渡さなければならなくなると思ったので、そう言った」

弁護人「5月14日は、藤里小学校の運動会に行ったということだが?」

鈴香被告「はい。雨だったので、(運動会をしている)地域の開発センターに行った」

弁護人「前から予定していたのか?」

鈴香被告「(以前に)学校にお邪魔したとき、校長先生に、『彩香は3年生の終わりごろから、鼓笛隊を楽しみにして練習に励んでいたので、鼓笛隊を見たい』と話したら、校長先生もどうぞと言ってくれた」

弁護人「運動会には何を持って行ったのか?」

鈴香被告「実家を出るときは、弁当箱と、彩香の遺影を持って行った」

弁護人「弁当箱の中身は?」

鈴香被告「彩香の好きな物で、私が買った食材を使って調理した」

弁護人「弁当箱はいつ買った?」

鈴香被告「彩香がいなくなる前日、2人で買い物に行ったときに買った」

弁護人「この弁当はどういうふうに食べるつもりだったのか?」

鈴香被告「開発センターでやるのだから、午前中に終わるのだろうと思い、藤里の家に置いていった」

弁護人「遺影は持っていたのか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「開発センターで先生方にはあいさつをしたか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「どのようなあいさつをしたのか?」

鈴香被告「担任や校長先生に、懇意にしてくれてありがとうとか、葬儀だけでなく、火葬や実家に来てくれてありがとうございます、と」

弁護人「あなたは来賓席に座っていたようだが?」

鈴香被告「校長先生に挨拶したら、是非そこに座って見ていってくれ、と言われた。私は壁際でもよかったが、せっかくの好意を無にすることはできないと思った」

⇒(2)運動会「彩香いないのにこの子たちは−」弁当、涙でしょっぱかった