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(16)彩香ちゃん「海の神様いるの?」 そして転落した橋へ…

弁護人「この日(彩香ちゃん殺害前日の4月8日)の食事は?」

鈴香被告「ファミリーレストランで食べた」

弁護人「彩香ちゃんは何を食べた?」

鈴香被告「から揚げとハンバーグで、ごはんとみそ汁がセットのもの」

弁護人「あなたは?」

鈴香被告「エビフライとハンバーグとごはんのセット」

弁護人「彩香ちゃんの様子は?」

鈴香被告「ナイフとフォークを使って食べるのが好きだったので、はしゃいでいた」

弁護人「あなたは(恋人の)Cさんに電話をかけた?」

鈴香被告「はい」

弁護人「どういう内容?」

鈴香被告「小腹がすいたので、何か食べにいかないかと誘った」

弁護人「そうしたら?」

鈴香被告「疲れているからまっすぐ帰って寝たいと。分かったと電話を切った」

弁護人「Cさんは、あなたが『お金を出す』と言ったので『じゃあ行く』と答えたら、怒って電話を切られたと説明している。そんなことがあった?」

鈴香被告「なかった」

弁護人「4月9日は昼ごろ起きた?」

鈴香被告「はい」

弁護人「前の日に飲んだ睡眠導入剤が効いていた?」

鈴香被告「はい」

弁護人「彩香ちゃんに起こされた?」

鈴香被告「そうですね」

弁護人「何と言われた?」

鈴香被告「お母さん、おなかすいた」

弁護人「あなたは?」

鈴香被告「まくら元の財布から200円渡し、『ラーメン買っておいで。お釣りあげるから』と」

弁護人「日曜に昼ごろ起きることはよくあった?」

鈴香被告「はい」

弁護人「いつもか?」

鈴香被告「学校が休みの日は結構あった」

弁護人「彩香ちゃんはカップ焼きそばを食べた?」

鈴香被告「はい」

弁護人「そのあと、外に出たいきさつは?」

鈴香被告「たばこの買い置きが少なくなっているのに気づいた。買いに行こうと思って外に出たとき、私の吸っていたたばこは藤里では売っていなくて二ツ井に行くつもりだった。玄関をあけたとき、家の裏側のほうから彩香の声がしたので彩香のところへ行き、『お母さん、二ツ井行くけど行くか』と声をかけると、『何か買ってくれる?』と言うので、『1つだけならいいよ』と言った」

弁護人「コンビニエンスストアで何を買った?」

鈴香被告「納豆巻きとたばこ2カートン、彩香はおもちゃつきのラムネを買った」

弁護人「納豆巻きはだれの?」

鈴香被告「主に彩香のです」

弁護人「晩ごはん?」

鈴香被告「はい。卵焼きも作ろうと思っていた」

弁護人「帰りの車中で会話した?」

鈴香被告「『お母さん開けていい?』と聞かれた。『いいよ』と言うと箱から出していた」

弁護人「それで?」

鈴香被告「『お母さん(おもちゃが)鳴らないよ』といわれたので、『家に帰ってから直してあげる』と言った」

弁護人「帰ってきたとき見聞きしたものは?」

鈴香被告「水色の自転車のめがねの女の子が、車に突っ込んでいきそうになって危ないと思った。『今の子どこの友達?』と聞いたら、『違うよ、同級生の子の妹だよ』といわれた。米山さん家の前で、3、4人子供が遊んでいた」

弁護人「おもちゃは夕方に直した?」

鈴香被告「はい。ドライバーでねじを取り、穴にドライバーを差し込んだら反動で直った」

弁護人「彩香ちゃんは?」

鈴香被告「見せに行ってくる、と走って出かけた」

弁護人「どこへ行くか見当はついた?」

鈴香被告「トイレに行って玄関を見ると自転車があったので、『近くに行ったんだな』と思った」

弁護人「どれぐらいで帰ってきた?」

鈴香被告「10分ぐらい」

弁護人「何か言っていたか?」

鈴香被告「特に何も」

弁護人「聞いたか?」

鈴香被告「いいえ。子供の交友関係には口を出さないようにしているので」

弁護人「それからあなたのマンガが読みたいと言ってきた?」

鈴香被告「はい」

弁護人「あなたはどうしていた?」

鈴香被告「まだ睡眠薬が残っていたので、居間の横にあるベッドでウトウトしていた」

弁護人「マンガのことをどう話してきた?」

鈴香被告「『お母さん、海の神様っているのかな』と」

弁護人「あなたは?」

鈴香被告「『彩香のそばにもいればいいね』と言った」

弁護人「海の神様とは?」

鈴香被告「海の守り神を題材にしたマンガだった。道徳的にもいいなと思って読ませていた」

弁護人「それから?」

鈴香被告「『彩香が学校で離した魚も神様は見ててくれるかな』と」

弁護人「何を言っているか見当はついた?」

鈴香被告「釣り具屋にいたとき覚えたサクラマスという魚が頭をよぎった。近くの川にも大きい魚が来るよと言った」

弁護人「そうしたら?」

鈴香被告「見たい見たい、と喜んで言った」

弁護人「どう思った?」

鈴香被告「『もう暗くなっているから見えないと思うよ』と、面倒くさいと思って言った」

弁護人「納得したか?」

鈴香被告「いいえ。お母さん見せて、見せに連れてってと、何回もしつこかったので少しイライラした」

弁護人「それからどうした?」

鈴香被告「ジュースを買いに行くついでにちょっと橋に連れていけば、暗いのが分かって納得すると思った」

⇒(17)「ここさ登って背を押しつけてやればどうなるべ」」