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(15)「抱きしめてあげられなかった」

弁護人「あなたなりに、子育ては、できることはしていたと考えているのか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「ネグレクトという言葉を知っているか?」

鈴香被告「はい」

弁護人「どういう意味か?」

鈴香被告「放置する虐待」

弁護人「した意識はあるか?」

鈴香被告「いいえ」

弁護人「先ほど話したように、スキンシップには問題があると自覚していた?」

鈴香被告「はい」

弁護人「彩香ちゃんが小学3年になってから顕著な変化はあったか?」

鈴香被告「特にない」

弁護人「通院していた医者からアドバイスは?」

鈴香被告「特にない」

弁護人「ある人から『抱きしめてあげれば』とメールをもらっていたようだが?」

鈴香被告「応えられなかった」

弁護人「どう思った?」

鈴香被告「抱きしめることができたら悩まない」

弁護人「18年の正月休みには、父と金銭面のトラブルがあった。あなたが金を取ったと疑われたようだが実際取ったのか?」

鈴香被告「いいえ」

弁護人「どう思った?」

鈴香被告「精いっぱい介護してきたのに情けない。昔のイメージでしか見てもらえないと思った」

弁護人「18年に入って4月の事件までの精神状態は?」

鈴香被告「相変わらず。あんまりいい方には向かっていなかった」

弁護人「このころ(恋人の)Cさんとの関係は。メールのやり取りはあった?」

鈴香被告「はい」

弁護人「メールが残っていないが?」

鈴香被告「私が消した」

弁護人「なぜ?」

鈴香被告「ちょっと距離を置きたかったがうまくいえなくて、メールを消したら気づいてくれるかなと思った」

弁護人「6年ぐらい交際期間があったが、別れ話が出たことは?」

鈴香被告「はい。何回も。離れたりくっついたりを繰り返していた」

弁護人「17年の夏ごろには別れたような内容が調書にあるが?」

鈴香被告「そのときもCさんから別れたいという話があったが、2週間ほどで元に戻って、前と同じ展開になった」

弁護人「メールを消したときは別れる気だった?」

鈴香被告「距離を置きたいと考えた」

弁護人「肉体交渉はあった?」

鈴香被告「はい」

弁護人「Cさんに変化は?」

鈴香被告「なかった」

弁護人「Cさんは『辛く当たった』と話していたが?」

鈴香被告「そうは感じなかった」

弁護人「3月31日にモーテルのような場所で肉体交渉をした?」

鈴香被告「はい」

弁護人「3月23日にもCさんは泊まった?」

鈴香被告「はい」

弁護人「肉体交渉は?」

鈴香被告「多分あったと思う」

弁護人「なぜ?」

鈴香被告「ほとんど来るたびしてたので」

弁護人「手帳によると3月15日に能代に行っているが?」

鈴香被告「能代に買い物に行ったという意味と思う」

弁護人「どこに行ったか覚えているか?」

鈴香被告「雑貨屋さんと、あとゴルフの打ちっぱなし」

弁護人「打ちっぱなしはCさんがやった?」

鈴香被告「はい」

弁護人「あなたは?」

鈴香被告「見ていただけ」

弁護人「4月4日にショッピングセンターで、パンティーストッキングとジュニア1900円というのを買っている。ジュニアとは?」

鈴香被告「彩香の外履き用ズック」

弁護人「彩香ちゃんが最後に履いていた靴か?」

鈴香被告「そう」

弁護人「この日はほかにどんな行動をした?」

鈴香被告「実家に寄って車の保険代を払ってそのとき、母に『彩香が学校に行きたくないと言っている』と母に相談した」

弁護人「夕食は?」

鈴香被告「外食して帰ったと思う」

弁護人「2人で?」

鈴香被告「はい」

弁護人「どこへ?」

鈴香被告「ラーメン屋と思う」

弁護人「4月5日は野菜、肉、スパゲティ、糸こん、エノキなど色々買っているが?」

鈴香被告「彩香と2人で食べる数日分です」

弁護人「何を作ろうと思った?」

鈴香被告「すき焼き」

弁護人「この日はほかに何をした?」

鈴香被告「覚えていない」

弁護人「4月8日の事件前日も色々食料を買っている。豚バラしゃぶ用2パックは何に使う?」

鈴香被告「すき焼きの肉にしようと思った」

弁護人「牛じゃなく豚?」

鈴香被告「牛は私はちょっと好きじゃないので」

弁護人「卵は4パック買っているが?」

鈴香被告「安売りの日だったことと、彩香が卵焼きが好きだったこと。次の週の授業参観に弁当を持って行くので」

弁護人「豚バラはいつ食べようと思った?」

鈴香被告「近日中です」

⇒(16)彩香ちゃん「海の神様いるの?」 そして転落した橋へ…