第4回公判(2012.1.16)
「学費援助断ったら態度変わった」 結婚詐欺未遂被害者証言
首都圏で起きた男性の連続不審死事件で、殺人などの罪に問われた木嶋佳苗被告(37)の裁判員裁判の第4回公判が16日、さいたま地裁(大熊一之裁判長)で開かれた。この日も、東京都千代田区の会社員、大出嘉之さん=当時(41)=の事件の審理が引き続き行われた。
午前は、木嶋被告が真剣に交際していたとされる男性が出廷。平成15、16年ごろから交際が始まったと説明する男性に、検察側が質問を重ねた。
検察官「被告から金銭を要求されたことは」
証人「一度もない」
検察官「一緒に旅行に行っているが、その際の支払いは」
証人「半々ではないが、お互い出し合っていた」
さらに、検察側は、木嶋被告が男性に送った「あなた以外の男性は考えられない」という趣旨のメールを朗読した。
弁護側は初公判で、「木嶋被告はこの男性とは結婚する気はなかった」と正反対の主張をしている。この日の反対尋問では、木嶋被告と男性は「何度もけんかしていた」という証言を男性から引き出した。
午後には、結婚詐欺未遂事件の男性被害者(59)が出廷した。検察側は、被害者が詐欺と気づいた経緯などを聞いた。
検察側が朗読したメールなどによると、木嶋被告は大出さんと知り合った日と同じ21年7月13日、結婚紹介サイトを通じてこの被害者と知り合った。木嶋被告はメールや電話で、学費名目で百数十万円の援助を男性に求めたという。
検察官は、被害者が木嶋被告に送ったというメールの内容を朗読した。
「立て替えたいのは山々だが支払うのは困難です」検察官「このメールを送った理由は」
証人「学費は工面できたが、金がなくても愛情があれば受け入れてくれると思い、試しに送ってみた」
検察官は、木嶋被告の返信メールも読み上げた。
「協力ができないのは、私に対して愛や誠意がないと判断します」検察官「返事を読んで、どう思いましたか」
証人「手のひらを返したように態度が変わり、結婚詐欺だと気づいた」
これに対し弁護側は、メールのやりとりが断絶した数日後に被害者が送った「失礼おわび申し上げます」という内容のメールの存在を指摘。一方的に関係を断ったのは被害者の側で、木嶋被告は結婚の意思があったと指摘した。
17日は、大出さんの死亡状況に関する審理が行われる。