第11回公判(2012.1.27)

 

「チョコ食べたら眠くなり…」 被害者の男性が証言

木嶋被告

 首都圏で起きた男性の連続不審死事件で、殺人などの罪に問われた木嶋佳苗被告(37)の裁判員裁判の第11回公判が27日、さいたま地裁(大熊一之裁判長)で開かれ、詐欺と窃盗の被害者の男性が検察側証人として出廷。男性は「木嶋被告が持ってきたチョコを食べたら眠ってしまった。起きたら財布から5万円がなくなっていた」と証言、検察側は睡眠薬を使った犯罪であることを強調した。一方の弁護側は、男性が仕事の疲れで眠った可能性を指摘した。

 この日証言したのは静岡県に住む会社員の男性(50)。男性は、木嶋被告に学費の援助名目で189万9千円をだまし取られた上、平成21年1月10日に木嶋被告と都内のホテルに宿泊した際、睡眠薬で眠らされ財布から5万円を盗まれたと証言した。男性は、入室後の状況を述べた。

検察官「チェックイン後は、何をしましたか」

証人「木嶋被告が作ったココアと、被告が持ってきたチョコを食べました」

検察官「チョコはどういうものですか」

証人「箱の中に2つ入っていた。木嶋被告が1個取り、自分が残りを食べた」

検察官「それから?」

証人「持っていた本を見せようと開いたが、そこから記憶がない。木嶋被告に眠らされたと思った」

 男性は、目が覚めたら被告はおらず、右ポケットに入れていた社員証が左ポケットにあり、財布から現金5万円がなくなっていたと証言。検察側は、男性を睡眠薬で眠らせている間に犯行を行うという手口が、木嶋被告の事件に共通している点を強調した。

 事件後の心境について、検察官は質問を続けた。

検察官「被告との付き合いは」

証人「交際を続けようとは思わなかった」

検察官「渡した金を返してくれと求めたか」

証人「要求してない」

検察官「なぜですか」

証人「経験をしたことない事態に巻き込まれ、怖いと思った。背後に大きな組織がいて、これ以上踏み込むと危険だとも感じた」

 一方、弁護側は、男性が過去に「帰宅したらいつの間にか寝てしまい、朝になっていた」という内容のメールを木嶋被告に送っていると指摘、こう続けた。

弁護人「バス通勤をしているそうですが、仕事の後、乗り過ごしたことは」

証人「あります」

弁護人「前日は仕事でしたか」

証人「はい」

弁護人「静岡から都内までの移動手段は」

証人「新幹線です」

 弁護側は、木嶋被告が睡眠薬を飲ませたのでなく、仕事の疲れで眠った可能性を指摘した。第12回公判は30日に行われる。

⇒第12回公判