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加藤被告「もう思い出せない」/「真実を語って」願う声に

 「裁判長。二、三、被告に聞きたいことがあるのですが−」

 検察側からの要請に、少し驚いた様子を見せつつ、証言台の前に座った加藤智大被告。約20分の被告人質問が始まった。

 検察側は、これまで行われてきた被害者遺族の意見陳述をどんな気持ちで耳にしたのか問いただした。

 「ご遺族の方々の訴えようとしたこと。私なりに悲しみ、怒りといった感情を少しでも酌み取るようにしてきたつもりです」

 淡々と語る被告に対し、検察側は「本当に理解できているのか」と、厳しい口調で畳み掛けた。

 被告は数秒沈黙した後「理解しなくてはいけない」と語り、さらに「被害者遺族一人一人がどんな方か、どんな思いなのかを自分の中に取り込んでいき、何度ごめんなさいと言ってもどうにもならないが、申し訳ないという気持ちをしっかり持っていきたい」と、声を震わせた。

 検察側はまた、被害者の湯浅洋さんが意見陳述時に「真実を語ってほしい」と語り掛けたとき、うつむいていた被告が目線を上げた場面の心境を尋ねた。

 再び10秒ほど沈黙した後、「自分を傷つけた犯人に対して怒りをぶつけるのが自然と思っていたが、きちんと説明してほしいと言われた。一人の人間として見られていることに感謝というか、何とも言えない感情を抱いた」と言葉を選びながら、心の揺れを振り返った。

 しかし、その一方で事件当時の記憶が依然あいまいであることも強調。「何か一つでも思い出せないかと思い、膨大な資料や写真を見返したが、事件の新たな記憶が戻ることはなかった。申し訳ないけれど、もう思い出せない」と声を絞り出した。

 最後に村山浩昭裁判長から、弁護側の最終弁論でもう一度陳述の機会があることを告げられると、表情を変えずにうなずいた被告。これまでの公判同様、頭を深々と下げて法廷を後にした。

⇒加藤被告「心えぐられる思い」