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「場当たり的」「KYな言動」…“第3の精神科医”が語った被告像

秋田県藤里町の連続児童殺害事件で殺人と死体遺棄の罪に問われ、1審で無期懲役判決を受けた無職、畠山鈴香被告(35)の控訴審第5回公判が19日、仙台高裁秋田支部(竹花俊徳裁判長)で開かれた。

公判に先立つ今月8日、東京地裁で非公開の証人尋問が行われており、今回はその内容が報告された。非公開証人尋問の証言台に立ったのは、控訴審に入ってから弁護側の要請で鈴香被告と面談を行い、その意見書を作成した精神科医の中島直医師だ。前回公判では、検察側が同意した部分のみ意見書が読み上げられ、中島医師が鈴香被告を混合性人格障害と分析したことが報告されている。

もともと、弁護側は裁判所に対し、控訴審であらためて精神鑑定を行うよう求めていた。しかし、裁判所が実施する気配をみせないことから、弁護側が請求を取り下げ、中島医師に面談を依頼。面談に関する意見書を提出することで、実質的な精神鑑定の意味合いを持たせるのが弁護側の狙いとみられる。東京地裁での証人尋問は、都内の病院に勤務する中島医師に配慮。裁判官や検事、弁護士が秋田から東京に出向いて行われ、鈴香被告も出廷した。

捜査段階を含め、これまで鈴香被告に対して2人の精神科医がすでに精神鑑定を行ってきた。今回のポイントは“第3の精神科医”がこれまでの鑑定を踏まえ、どのように鈴香被告をみるのか、だ。

午前10時。いつものように入廷する鈴香被告。法廷の外には雪が降り積もっている。寒さ対策のためか、鈴香被告は黒いジャケットの下に白いセーターを羽織っている。

開廷後、まず、前回公判で一部不同意とした意見書について、検察側が信用性を争うとしたうえで、証拠採用に同意。弁護側が意見書の不同意部分を読み上げ、その後、陪審の裁判官が検察、弁護、裁判所3者と中島医師による一問一答のやりとりを読み上げる形で証人尋問の内容が報告された。

意見書や、やりとりによると、中島医師は鈴香被告の言動の統一性には疑問があり、周囲の状況に影響されやすく、「場当たり的な行動が多い」と分析。

そのうえで、長女、彩香ちゃん=当時(9)=事件は突発的であり、殺意については「難しいところがある」「故意か過失か決めることは難しいが、救護活動をしていないというのは本人に落ち度があったからだろう」と説明した。

事件前後の鈴香被告の健忘は「程度の差はあるが、段階的に健忘していった」とする一方、「健忘のレベルは浅い」「(橋の上の出来事)すべてを忘れたという可能性は低い」「(忘れたいという)本人の願望が影響しており、その過程で健忘が徐々に完成していったものと思われる」「思いだそうとすれば思いだせただろうが、(きっかけがないと)なかなか思いだせなかったのでは」などと分析した。

また、2軒隣に住む米山豪憲君=当時(7)=の殺害動機については「(彩香ちゃん事件以降)自暴自棄になっており、場当たり的な犯行」と分析。控訴審で豪憲君の殺害動機を「分からない」などとし、証言を後退させた点については、「(豪憲君事件を)感情を消化できていないため、(彩香ちゃん事件と同様)記憶を思いだせないのではないか」「(控訴審の言動に)作為があるかどうかは難しいが、(捜査段階や1審では)場当たり的に(記憶が)あやふやなことでも言ったり、誘導で述べたこともあると思う」と推論した。

一方、殺害後に豪憲君の両親に対し、同情の意を示した手紙を送るなどの行為も、「あまり状況を考えずに行った行動」と分析する。発達障害がみられ「空気の読めない対応がある」とし、反省の態度が見られないのは「冷酷だからではなく、反省の仕方が分からないから」と説明。1審判決後、傍聴していた豪憲君の両親に対し土下座をしたことについては「反省という人間として高度な作業は、被告にとって困難なもの。土下座は(どのように反省したらいいか分からない)被告にとって精いっぱいの行動だったのではないか」とした。

今回は発言の場面がないためか、これまでに比べ、いくぶん落ち着いた様子を見せた鈴香被告。昼の休憩を挟み、午後2時25分まで行われた公判の間、終始うつむき加減で裁判官の一問一答の読み上げを聞いていた。

次回公判は30日午前10時から。検察側、弁護側双方が最後の意見を述べ、結審する予定。判決は今春の見込み。

⇒控訴審 第6回公判