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(4)暴力、浮気、料理、家事…破綻の原因は?

歌織被告に対し、弁護側は祐輔さんの行動の異常性についての質問を続ける。

弁護人「あなたは平成18年7月2日、祐輔さんから午前11時48分から22時45分まで51回続けて携帯に電話されているが、どう思う?」

歌織被告「回数から考えてすごい」

ここで、祐輔さんから暴力を受けた際に記録の意味で歌織被告自身を撮影していた写真などの証拠について、確認が始まる。

弁護人「ここに写っているのは誰で、誰が撮ったもの?」

歌織被告「私自身」

弁護人「どういう状況を撮ったの?」

歌織被告「彼から暴力を受けて残った傷を写した」

弁護人「撮った場所と時間は?」

歌織被告「武蔵小山のマンションだから平成15年で間違いない」

弁護人「何月?」

歌織被告「9月以降」

弁護人「(別の写真を見せて)次にこの写真は、誰が誰を写したもの?」

歌織被告「私で、これも彼から暴力を受けたときに自分の身体を写した」

弁護人「どんな状況?」

歌織被告「私が彼から逃げられないように、手足を縛られた跡」

弁護人「(別の写真を見せて)これは誰が写したの?」

歌織被告「私が撮ったもの」

弁護人「何を写したの?」

歌織被告「彼が私を縛った物を」

弁護人「それがこのベルトなどだね?」

歌織被告「はい。自分でほどいて、自分の身体から外れたもの」

弁護人「いつごろ撮ったの?」

歌織被告「(写真を指して)ここに平成16年春に食事に行ったときの写真があるので、そのころだと思う」

弁護人「あなたは祐輔さんから暴行されるたびに写真を撮っていたの? 隠れて撮れたの?」

歌織被告「はい。でも暴力を受けて必ず跡が残るわけではないし、撮った写真も彼に見つかって捨てられたときもある」

弁護人「ほかに写真は撮っている?」

歌織被告「いっぱいある。彼は私が離婚に備えて撮っていることは知っていたので。見つかると、カメラを壊されたり水につけてだめにされたりしたのがいっぱいある」

弁護人「祐輔さんから暴行を受けた後、祐輔さんは誓約書のようなものを書いたそうだが」

歌織被告「はい」

弁護人「これは誰が、誰に対して書いたもの?」

歌織被告「彼が私に対して書いたもの」

弁護人「一度、祐輔さんがあなたに書き置きを残したそうだが。これに見覚えある?」

歌織被告「はい。18年7月29日、私が彼に離婚してくれと言ったとき、彼が『応じる』と家を出て行ったときに書いたもの」

証拠番号が食い違っているらしく、裁判長が弁護側に確認する。裁判長は「大丈夫か? ちゃんと記録に残るが今までのも大丈夫なのか?」といらついた様子だ。

弁護人「これは誰が書いたもの?」

歌織被告「これは彼が私に書いたもの。彼から暴力があったとき、私が『今度こそ別れてほしい』といったため、彼が書いた」

弁護人「内容は?」

歌織被告「彼自身が考えて書いた」

弁護人「これは誰が書いた?」

歌織被告「私自身」

弁護人「誰のもの?」

歌織被告「私」

ここでまた証拠番号が裁判長や検察側と食い違っているようで、裁判長から確認が入る。

弁護人「これは?」

歌織被告「私のもの、私が書いたもの」

弁護人「(歌織被告の手帳を見せ)これは?」

歌織被告「私のもので私自身が書いたもの」

弁護人「手書きの丸文字でYとあるのは誰のこと?」

歌織被告「これは彼のことを指して書いている」

弁護人「この『AM』と数字は?」

歌織被告「彼の帰宅時間。彼は自分の暴力と浮気の原因は、私が妻として問題があることと考えており、彼の友人やご両親に料理をしないとかデタラメを言っていた。これでは、離婚をするときにも離婚や暴力を正当化してくる。(夫婦生活が)こうなったのは、私が家事をしなかったことが原因ではなく、彼が家庭生活を顧みることがなかったからだということを言いたくて、彼の生活パターンを書いていった」

歌織被告は語気を強めて主張した。

⇒(5)「申し訳ない」遺族に初めて謝罪 祐輔さんには…