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(4)ノートの内容「言わなくちゃいけないの?」

検察官「確かに途中から被疑者ノートを書かなくなっている。なぜ?」

鈴香被告「直接弁護士に言えばいいと思っていた。(抗議のため自分の腕に)ボールペンを刺してからは、自分の房ではなくて接見室で特殊なボールペンを使って、そのほかに書くことを了解を得て、下敷きとかもらって、ロッカーから被疑者ノートを出してもらって、というような長い手順があったので、それで書いていなかった」

検察官「ひどい取り調べのことは、自分のA4ノートでもいいが、まったく書いていなかった?」

鈴香被告「ほとんど書いていない」

検察官「実際には6月7日、12日、15日、17日、20日、23日、24日、25日、26日、28日、7月3日、4日、12日、17日、22日、24日、26日、27日、8月3日に記載していますよね?」

弁護人「何のことか?」

検察官「留置記録です。(ノートに)何を書いていたのか?」

鈴香被告「何を書いたのか言わなくちゃいけないのか」

裁判長「黙秘権があります」

鈴香被告「黙秘します」

検察官「ノートに『誤りはサインしちゃいけない』とあり、弁護士にも言われているのに、調書に署名した。怖かったということ?」

鈴香被告「怖かったし、『警察は偉いんだ。お前1人が分からなかったことを、100人態勢で調べて何でも知ってるんだ』みたいなことを言われたので、余計怖くなった」

検察官「被疑者ノートが差し入れられていたのに、口頭で言えばいいと思っていた?」

鈴香被告「はい」

検察官「面倒でも何度もノートを書いているが、取り調べの違法性については書いていないわけだね? 何を書いているのかは言いたくないらしいけど」

鈴香被告「はい」

検察官「7月12日に彩香ちゃん事件のことを話してからしばらく後、ノートを書く機会が少なくなっている。『娘のことを考えてしまい、書けない』と留置係に言った?」

鈴香被告「覚えていない」

検察官「7月2日の検察調書では、(彩香ちゃん事件について)7時ぐらいに『探している』と言って回るまでのことが浮かんでこないと言っている。こんな調書を作ると弁護士にしかられるから、内緒にしておこうと検察に言われたと話しているが?」

鈴香被告「この調書ではなかったと思う」

検察官「でも弁護士の質問に対しては、この調書と答えている。『こんな調書を作ったと言うと、弁護士にしかられるから内緒にしとこうね』と」

鈴香被告「『思い出す努力をしようね』というようなことを言われた。というか、書かれていた調書にサインしたことは内緒にしとこうとは言われた」

検察官「実際内緒にしたのか?」

鈴香被告「はい」

検察官「しかられるから?」

鈴香被告「はい」

検察官「弁護士にしかられるのが怖かった?」

鈴香被告「弁護士にしかられるというよりは、検察官との約束を守らねばという方が強かった」

検察官「内緒にする理由もよく分からない。弁護士より検察官の方が怖かったの?」

鈴香被告「怖かった」

⇒(5)供述“迷走” 「彩香の最後の言葉『お母さん…』は推測」