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(1)「ファンを裏切り本当に自分が情けない」

音楽著作権の譲渡を個人投資家の男性に持ちかけて5億円をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた音楽プロデューサー、小室哲哉被告(50)。11日に大阪地裁で懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡された。約20分の判決言い渡し後、小室被告は大阪弁護士会館(大阪市北区)で午前11時20分から弁護人とともに会見した。

小室被告は公判で罪状をすべて認めて謝罪した上、利息を含む約6億5000万円を弁済するなど、執行猶予付き判決を求めてきた。念願の執行猶予付き判決となり、小室被告は判決前の緊張した面持ちとは一転し、やや安堵(あんど)の表情を浮かべ会見会場に姿を見せた。約100人の報道関係者の前で小室被告は深々と頭を下げた。

小室被告「このたび、私小室哲哉は大変大きな、大きな過ちを、罪を犯してしまいました。被害者の方には大変長い間苦しい思いをさせてしまいました。ファンの方も裏切り、ご迷惑をかけました。公判中であまりお話できなかったので、改めて深くおわび申し上げます」

冒頭の謝罪をした後、小室被告は再度深々と数秒間頭を下げ続けた。

弁護人から何か耳打ちされた小室被告は、何度かうなずいて前に向き直り、弁護人が会見を始める前に発言した。

弁護人「それでは会見を始めさせていただきますが、まだ判決は確定しておりませんので、すべての質問にお答えできないと思いますが、ご了承願います」

小室被告と弁護人は着席し、報道関係者の代表質問から始まった。

 −−執行猶予判決を受けて今の感想は

小室被告「判決を心から真摯に受け止めて、これからの人生を歩んでいきたいと思います」

 −−被害者の方、支援してくれた方への思いは

小室被告「先ほど申し上げましたとおり、大変長い間苦しい思いや怒りの気持ちを与えてしまい、語り尽くせないほどご迷惑をかけました。また、ファンの方には、何十年も私の音楽を聴いてくれた人を裏切ってしまいました。本当に自分が情けないです」

小室被告は時折うつむきながらゆっくりと思いをかみしめるように続けた。

小室被告「私が働いていた関係会社にも少なからず大きな損害を与えてしまいました。ひとえに私の大きな過ちのせいです。心からおわび申し上げます」

小室被告は申し訳なさそうに何度も頭を下げるしぐさを繰り返した。

約6億5000万円の弁済金を工面してもらった小室被告の音楽グループ「globe」が所属するエイベックス・グループ・ホールディングスの松浦勝人社長らのことに触れ、今後の活動について語った。

 −−今後の活動は

小室被告「エイベックスの松浦社長や副社長などにお世話になりまして、一生懸命、一から出直してがんばりたいと思います」

⇒小室被告記者会見(2)「音楽は私の天職でしかないと改めて思った」