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(9)夫の勤務先に給与口座を問い合わせた歌織被告

三橋祐輔さんの元上司への検察側の尋問が終わり、弁護側の尋問に移る。歌織被告は相変わらずじっと前を見据えている。ときどき目を閉じたりするが、落ち着いた様子で尋問を聞いていた。

弁護人「あなたは祐輔さんと同じ会社の上司か」

証人「はい」

弁護人「年齢はどれぐらい違うのか」

証人「私の方が2歳上」

弁護人「祐輔さんとの付き合いは仕事上だけか、プライベートでも付き合いがあったか」

証人「プライベートの付き合いもあった」

弁護人「会社では(証人が)祐輔さんと一番仲が良かったのか」

証人「(会社)全体で何人かと仲が良かった」

弁護人「祐輔さんが失そうして歌織さんが心配していないのに違和感を持ったというが、家庭破たんのことは聞いていたのか」

証人「離婚したいということは聞いていた」

弁護人「(離婚したい)理由は聞いたのか」

証人「もうやっていけないと聞いた。詳しくは聞いていない」

弁護人「ほかの女性と結婚しようということは?」

証人「その女性とつきあっているのは聞いた」

ここで検察側が割って入る。

検察官「裁判長、尋問は失そう後のことに限っているので…」

検察側の異議を裁判長が認め、関連のある質問をするように弁護側に促した。

弁護人「祐輔さんが会社に来なくなって、問い合わせた先は奥さん以外にどういうところか」

証人「高校の同級生や、(祐輔さんが)会社に入る前の交際関係に連絡した」

弁護人「(祐輔さんが)交際していた女性には?」

証人「最後に当たった」

弁護人「問い合わせた女性は、11月から祐輔さんが付き合っている人か」

証人「詳しいことは分からないが、おそらく最後に交際していた人だと思う」

弁護人「あなたと一緒の飲み会で(祐輔さんが)知り合って交際していた女性には問い合わせたのか」

証人「交際していたかどうか知らないが、その人間には問い合わせた」

弁護人「捜索願は会社が促したので歌織さんが出すことになったのか」

証人「はい」

弁護人「(勤務先の)社長との面談で、祐輔さんの女ぐせ、酒ぐせの悪さを指摘されて、上司としてあなたが注意することで納得してもらったのか」

証人「はい」

弁護側の尋問が終了。その後、検察側と裁判官が補足して証人に聞いた。

検察官「その社長との面談で祐輔さんの昇進の話が出ていたか」

証人「はい」

裁判官「(祐輔さんと被告が住んでいた)マンションと会社の関係はどうなっているのか」

証人「会社が借り上げて、家賃は自分で払っていた」

上司に対する証人尋問が終わり、次に証人として出廷したのは、祐輔さんが勤務していた会社のグループ企業の人事担当者。証人が法廷中央に出てきても、歌織被告の表情は変わらない。

検察官「給料の支払日はいつか」

証人「毎月20日」

検察官「銀行振り込みか」

証人「はい」

検察官「被告人が振り込みについて、問い合わせてきたのはいつのことか」

証人「平成18年11月22日」

検察官「どんな内容だったか」

証人「祐輔さんに知らせずに(振り込み)口座の情報を教えてほしいとのことだった」

⇒(10)「夫から年明けにメール」とウソ その理由は…