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(26)「子供誘拐の欲求」いつ生まれた?激しい応酬

検察官「4月中旬に犯人といううわさを聞いた?」

鈴香被告「はい」

検察官「どう思った?」

鈴香被告「小さな町だから、と」

検察官「腹を立てたことは?」

鈴香被告「ない」

検察官「子供を誘拐しようと?」

鈴香被告「はい」

検察官「再捜査につなげたいという主張?」

鈴香被告「はい」

検察官「どうつながるわけ?」

鈴香被告「子供に関係する事件だったら、関心持ってくれる」

検察官「彩香ちゃんの事件では別の犯人がいた、と?」

鈴香被告「はい」

検察官「車とか女性とか言うと、正確な犯人像をゆがめてしまうとは考えなかった?」

鈴香被告「考えたことない」

検察官「弁護人質問では、5月16、17日となっている」

鈴香被告「はい」

検察官「何度かあるというが、2回?」

鈴香被告「2日だと思う」

検察官「捜査段階では何日かはないが?」

鈴香被告「思い出せない」

検察官「冒頭陳述を含めて初めてだが、思い出せる?」

鈴香被告「…」

検察官「第1回公判以降?」

鈴香被告「覚えてない」

検察官「豪憲君殺害の当日と前日だから、忘れようがない。ウソというつもりないが、なぜ隠していたか聞きたい」

鈴香被告「いつ思い出したか、思い当たらない」

弁護側が割って入る。

弁護人「冒頭陳述では『5月15日に子供を見たときに(気持ちが)わき上がってきた』とある。15日以降しかあり得ない」

検察官「(弁護側に)16、17日ですが、先生聞かれてました?」

弁護人「私が答えるところじゃない」

裁判長「16、17日と弁護士に話した?」

鈴香被告「話してない」

検察官「いつ言った?」

鈴香被告「もっと前だと思っていた」

検察官「検察にも言ったことはない?」

鈴香被告「はい」

検察官「隠していたのでは?」

鈴香被告「はい」

検察官「いかにも計画的だと(いう気持ちで)隠していた?」

鈴香被告「いいえ」

検察官「(恋人だった)○○に四十九日まで団地に戻らないと?」

鈴香被告「はい」

検察官「いつ戻った?」

鈴香被告「戻ってない」

検察官「顔を出すようになった」

鈴香被告「戻らないというのとは意味合いが違う」

裁判長「いつ顔を出した?」

鈴香被告「退院してから。ゴールデンウィークのちょっと前」

検察官「犯人といううわさを聞いたころ?」

鈴香被告「よく覚えていない」

検察官「(戻ったのは)誘い込んで準備していたということ? 物干しに腰ひもの準備をしていた?」

鈴香被告「違う」

検察官「(ひもは)いつかけた?」

鈴香被告「ゴールデンウィークのちょっと前」

検察官「警察には5月の連休ごろと言っている。ずっと2本かけたまま?」

鈴香被告「はい」

検察官「なぜ」

鈴香被告「8の字にして2本の竿にかけて、真ん中に洗濯ばさみがいっぱいついたやつをつけて、彩香の洗濯物を洗濯したいと」

検察官「豪憲君殺害まで(洗濯は)していない」

鈴香被告「はい」

検察官「なぜ?」

鈴香被告「いつでも洗濯できるからという気持ちがあった」

検察官「物干し2本でも(洗濯物は)かけられる。なぜひもをかけた」

鈴香被告「小さなもの。靴下とかパンツとか」

裁判長「ひもは何のため?」

鈴香被告は身振りを加えて説明する。

検察官「なぜ(ひもを)8の字にしたところにぶら下げる(必要がある)? もともと物干し竿にもあったのでは?」

鈴香被告「はい」

検察官「なぜ?」

鈴香被告「もっと洗濯したかったから」

裁判長「その話は捜査段階でしていた」

鈴香被告「はい」

検察官「玄関の近くでじゃまではなかった?」

鈴香被告「いいえ」

検察官「具体的に飾る…」

被告は怪訝な表情を浮かべ…。

鈴香被告「飾る? 干す」

検察官「単に干す。こまめに洗濯すればいいことでしょ」

鈴香被告「何回もするのが大変。段ボール6〜7箱あり、全部するつもりだった」

検察官「実際にはしていなかった」

鈴香被告「(語気を強め)まだ、していなかった」

⇒(27)意味不明…なぜ殺害場所「彩香の部屋」とウソ供述?