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(19)事件の核心つく女性裁判官 鈴香被告「橋にいたことも直後に忘れた」

被告人質問も大詰め。右陪席の女性裁判官は、鈴香被告が手を払ったため転落した「事故」だと主張する彩香ちゃん事件での不審点について、理詰めで質問を重ねていく。

裁判官「鑑定人に対して、(彩香ちゃんを)手で払ったことも覚えていないと言わなかったか?」

鈴香被告「違う」

裁判官「払ったことは確か?」

鈴香被告「はい」

裁判官「落ちた直後に、助けようとか、見に行こうとかいう気持ちは起きなかったのか?」

鈴香被告「そのときは尻もちをついて、何が何だか分からないような状態だった」

彩香ちゃん事件の核心部分。答えに納得しない裁判官は、さらに詰めていく。

裁判官「その後に車に乗って家に帰っている。車に乗って帰るまでに、川を見に行こうとしなかった理由を説明できるか?」

鈴香被告「できない。『なぜここにいるんだろう』としか思っていなかった」

裁判官「車に乗るときには、『なぜここに』と思っていたのか?」

鈴香被告「はい」

裁判官「夜の真っ暗な大沢橋に、なぜ1人で来ているのか思い出せなかったのか?」

鈴香被告「はい」

裁判官「不思議に思わなかった?」

鈴香被告「不思議には思ったが、早く帰って彩香に晩ごはんを食べさせなくちゃいけないという気持ちがあったので…」

事件当時の「記憶を失った」と主張している鈴香被告。だが、女性裁判官は「橋にいたことは覚えていたはずだ」という考えから、鈴香被告の不審な行動をさらに追及する。

裁判官「探している間に、『橋で何をしているか分からない状態にあった』ことを(周囲に)言わなかったのか?」

鈴香被告「自分1人で団地の中を探しているうちに、橋にいたのも忘れてしまって…後から思い出したので…」

裁判官「橋にいたことは直後に覚えていたが、それも忘れてしまったのか?」

鈴香被告「はい」

詰めの質問は豪憲君事件へ。傍聴席の豪憲君の父、勝弘さんは大きくため息をついた。途中、母の真智子さんが、顔を手でおおう場面もあった。

裁判官「豪憲君事件の前、どこで子供をさらおうと考えたのか?」

鈴香被告「藤里町か二ツ井町」

裁判官「藤里だと顔を知られている子供が多いと思うが、意識していたか?」

鈴香被告「いいえ」

裁判官「事件で使った腰ひもは、前に旅館で働いていたとき使っていたもの?」

鈴香被告「はい」

裁判官「やめてから使ったことは?」

鈴香被告「なかったと思う」

裁判官「さっき『とんでもないことをした。返してあげたい』と言っていた。反省の気持ちは手にかけて以降、変わっているか?」

鈴香被告「だんだん深くはなってきている。もっともっと深めていかねばいけないと思っている」

裁判官「深くなったきっかけは?」

鈴香被告「毎回裁判に傍聴に来られる米山さん夫婦を見るうちに強くなった」

裁判官「鑑定人は(鈴香被告が豪憲君の両親の傍聴について)『プレッシャー、苦痛を感じている』と書いている」

鈴香被告「苦痛というよりも…私より米山さんがつらいだろうと思っていた」

⇒(20)こだわる授業参観「毎回行った!」豪憲君母の証言に反論