(1)「体を売ろうかと提案」「ツーショットチャットを教えた…」
大阪市営地下鉄の電車内で今年2月、会社員の男性が痴漢にでっち上げられた事件で、元甲南大生の蒔田文幸被告(24)=公判中=と共謀したとして虚偽告訴などの罪に問われ、30日に大阪地裁で論告求刑公判が開かれた阪田真紀子被告(31)。懲役4年を求刑した論告に先だって行われた検察側の被告人質問は−。
午前11時、大阪地裁802号法廷。阪田被告は女性の弁護人に付き添われて入廷し、傍聴席に向かって頭を下げ被告人席に着いた。
23日の初公判のときと同様、上下黒のスーツとスカート姿。髪を後ろに上げた阪田被告は足下に視線を落としたまま証言台の前に座った。この日も傍聴席は満席。痴漢にでっち上げられた被害者の男性もいる。
前回、被告人質問を持ち越されていた検察官が立ち上がった。
検察官「あなたは蒔田被告に声をかけられて泊めてくれといわれて一緒に住むようになった」
阪田被告「はい」
検察官「将来の資金づくりをしたいと」
阪田被告「はい」
検察官「いつごろからそんな話を」
阪田被告「住んでまもなく」
検察官「何日後ぐらい」
阪田被告「初日から」
検察官「知り合ったその日にどうやってお金を作るか話し合ったのか」
阪田被告「はい」
検察官「どのようなアイデアが出た」
阪田被告「蒔田被告自身がパーティーをしたり…(声が小さく聞き取れず)」
阪田被告は終始、か細い声だ。
検察官「他には」
阪田被告「物売りとか。2、3日してから効率よくお金を稼ぐ方法があるということで。私がすごく短絡的に体を売ろうかと提案したら蒔田被告に否定され、そんなことしなくていいと。それよりもっと効率的に稼ぐ方法をおれは知っていると」
検察官「どんな方法を」
阪田被告「まず体を売るようなまねをするのではなく(声が小さく聞き取れず)」
検察官「蒔田被告と一緒に万引したのはどっちのアイデアか」
阪田被告「蒔田被告です」
検察官「知り合っていつごろ」
阪田被告「2、3日」
検察官「何回ぐらい万引した」
阪田被告「定かではないですが、コンビニなんかで蒔田被告が全くお金を払わないことがあって。私はデパートで万引して」
検察官「蒔田と一緒に万引したのは」
阪田被告「蒔田被告に言われてやったのは1回」
検察官「全部で何回ぐらいか覚えてないのか」
阪田被告「主にデパートで5、6回」
検察官「すべて蒔田被告から(持ちかけたのか)。それともあなたがやろうと」
阪田被告「一度だけ私からメールで万引しようかと」
検察官「それはゲームセンターで置引したことですよね」
阪田被告「はい」
検察官「路上で物売りするとか、万引するとかは蒔田被告から言い出したのか」
阪田被告「蒔田被告がアイデアをポンポンと出してきて」
検察官「あなたから出したことは」
阪田被告「いいえ、ないです」
検察官「あなた自身はお金は必要なかった」
阪田被告「はい」
検察官「強盗未遂の美人局のことですけど、いつ話が出た」
阪田被告「犯行する当日の何日か前に美人局(つつもたせ)知ってるかといわれて」
検察官「他にどんなものを挙げた」
阪田被告「まず美人局。痴漢でっち上げもそうですし。女の方が男のスキを突きやすいからと」
検察官「他には」
阪田被告「お金を持っている男性をだましてお金を取るとか」
検察官「その一つが美人局か」
阪田被告「はい」
検察官「蒔田被告は美人局はあなたからと言っていたが違うの」
阪田被告「はい」
検察官「美人局を当日しようと言ったのは蒔田被告で間違いないのか」
阪田被告「はい」
検察官「どのように言ってきたの」
阪田被告「男をひっかけようと。逆ナンパしろと。男の人に声をかけてできるとは思わなかったので無理だと」
ここで裁判官が「もっと大きな声で答えてください」と注意した。
検察官「蒔田被告から言われた美人局に同意したのか」
阪田被告「最終的には」
検察官「あなたはやりたくなかった」
阪田被告「はい」
検察官「やりたくなかったのにやってしまったのは」
阪田被告「やはり蒔田被告が私を必要としてくれたから」
検察官「具体的な方法はあなたと相談して決めたのか」
阪田被告「逆ナンパが無理だと言ったら出会い系サイトを利用しようと(蒔田被告が言った)。私が責任を感じているのですが、ツーショットチャットというのを蒔田被告に教えました。サイトのことを話すとすぐにインターネットカフェに行ってそのサイトを立ち上げていました」
検察官「あなたが被害者とのメールを…」
阪田被告「はっきりと覚えていませんが、男性の気を引くようなことや、ミナミに連れて来させる言葉を(蒔田被告が)私の隣で考えていました」
検察官「コーヒー店での待ち合わせはどっちが決めた」
阪田被告「蒔田被告の方から」
検察官「指示されたことに間違いないか」
阪田被告「はい」
検察官「殴って財布を取るということは事前に言っていた」
阪田被告「はい」