(2)「怒り爆発というよりもっとドライな感じ」(一問一答)

弁護人「どのような夢を見たのか?」
勇貴被告「妹が小さいころ、前歯の抜ける時期に、一緒に遊んだこと。ありもしないことですが、(犯罪)事実と違う夢もみた」
弁護人「具体的には?」
勇貴被告「僕が最初に棒きれで殴りつけたが、救急車を呼ぶ夢」
弁護人「どう感じた?」
勇貴被告「それが現実ならどんなに良かったか、という感じ」
弁護人「最初から調べた刑事はどのようなことを?」
勇貴被告「よく覚えていない具体的には、『亜澄ちゃんが死んでホッとしているんだ』。すごく傷つく言葉だった」
弁護人「傷ついた?」
勇貴被告「はい」
弁護人「刑事さんへの態度は変わったか?」
勇貴被告「へそを曲げ、何を聞かれても生返事をするようになった」
弁護人「刑事は何か言っていたか?」
勇貴被告「謝って…。『取り調べでは色々なことを言ったけれど、勘弁してくれよ』と謝ってくれた」
弁護人「受験にプレッシャーはあったのか? なぜ歯学部を目指したのか?」
勇貴被告「歯科医師になりたたかったのが一番」
弁護人「何で歯科医師になりたかった?」
勇貴被告「福島に住んでいる祖母は、祖父が生きているころ、歯科診療室をやっていたが、祖父が死んで無人になっていた。そこを継いだら喜ぶかなと…」
弁護人「3年間まじめに勉強したのか?」
勇貴被告「お恥ずかしい限りですが、せいぜい1浪目のときぐらい」
弁護人「2、3浪目はまじめにしていなかったのか?」
勇貴被告「ほとんど勉強していない」
弁護人「兄からアドバイスを受けたのか?」
勇貴被告「アドバイスというか、体験というのが近い。兄は勉強しているときは、書いているページが終わるまで(席を)立たないとか、壮絶な…」
弁護人「大学に合格するには、それぐらい勉強しないといけないと?」
勇貴被告「そうです」
弁護人「どう感じた?」
勇貴被告「やっぱりすごいなと」
弁護人「見習おうとは思わなかったのか?」
勇貴被告「お恥ずかしい限りですが、勉強することをかたくなに拒んでいたこともあった」
弁護人「兄には何と言ったのか?」
勇貴被告「勉強したくないといったかもしれない」
弁護人「最後に受験したとき、合格できると思っていたのか?」
勇貴被告「分からないです」
弁護人「思っていたのか、思っていなかったのか?」
勇貴被告「思っていなかったのではないでしょうか」
弁護人「3浪目の9月以降、1日何時間ぐらい勉強したのか?」
勇貴被告「ほとんど勉強していなかった」
弁護人「サンゴや魚などアクアリウムを始めているが、1日何時間費やしたのか?」
勇貴被告「ほぼ1日中。、朝から晩まで、晩から朝までという感じ」
弁護人「アクアリウムの趣味は平成18年12月まで続いたのか?」
勇貴被告「そのように思う」
弁護人「平成19年の受験で合格できなかったら、もう一度受験したか?」
勇貴被告「あまり考えていなかった」
弁護人「ここに乙2号証があります。平成18年12月当時、受験のプレッシャーを感じていたと言っている」
勇貴被告「そうったプレッシャーはなかった。あったら、勉強していたと思う」
弁護人「カリカリしていたと調書にはあるが?」
勇貴被告「事実ではないと思う」
弁護人「受験は別にしてカリカリしていたのか?」
勇貴被告「していなかったのではないでしょうか」
弁護人「なぜ勉強しなかったのか?」
勇貴被告「なぜでしょう。やればよかったと今思う」
弁護人「勉強しなくなったのはいつからか?」
勇貴被告「小学校のころからずっと」
弁護人「中学、高校の定期試験前は?」
勇貴被告「したこともあるが、しなかったことが多かった」
弁護人「内部進学の特別テストは?」
勇貴被告「していなかった」
弁護人「勉強しなければと思わなかったのか?」
勇貴被告「思っていたらやっていたと思う」
弁護人「勉強できないことがストレスになっていたか?」
勇貴被告「ストレスを感じた覚えはない」
弁護人「調書はすべて目を通したのか?」
勇貴被告「はい」
弁護人「事実関係、動機、鑑定について聞きます」
勇貴被告「お願いします」
弁護人「あずみさんが悪態をついて3階に行くようなことは平成18年12月、11月、10月ごろにありましたか?」
勇貴被告「あったと思う」
弁護人「12月30日のときだけなぜ爆発したのか?」
勇貴被告「今でも分からない。怒り爆発というのではなく、自分でも理解できない」
弁護人「木刀で頭を殴るときにめまいを感じた、と捜査官に語ったか?」
勇貴被告「はい」
弁護人「どのように?」
勇貴被告「めまいのようなものを感じると話しました」
弁護人「調書にはないが」
勇貴被告「調書にはしないと言われた」
弁護人「どうして?」
勇貴被告「『ぐらっとめまいがきたら、追いかけられないから』と言われた」
弁護人「調書では、『憎しみを持っており、もっとも言われたくないことを…』と説明しているが、大分違うのはなぜか?」
勇貴被告「そうですね。刑事さんがお話してくださった。『病気と犯行、原因と結果が合わなければ嘘になる。水道管のパイプが合うように、事実が合うようにしていかなければならない』と」
弁護人「(亜澄さんを)木刀で殴り、追いかけた後、1時間ぐらい話をしている。俳優を目指し、プロダクションに所属していることの説明を信用しなかったのか?」
勇貴被告「そのときどう考えていたのか覚えていません」
弁護人「木刀で殴打の後のやりとりは?」
勇貴被告「少なくとも、取り調べ当時は信じていませんでした」
弁護人「殴ったときも信じていなかったのか?」
勇貴被告「そうですね」
弁護人「女優を亜澄さんが目指しているのを知らされていたら、やりとりの方向は違った方向になっていたか」
勇貴被告「ずいぶん違った結果になっていると思う」
弁護人「歯医者になるのはパパとママのまねという言葉を投げかけて…」
勇貴被告「そのように思います」
弁護人「『俺にだって夢くらいある。小娘に何が分かる』ととっさにこのような感情を持ったのか」
勇貴被告「そういう感じではなかった。もっとドライな感じ」
弁護人「ドライ?」
勇貴被告「燃え上がる怒りというよりも、ねちっこくという感じでもなく、通常の話、口調」
弁護人「『もう聞きたくない。口を黙らせるには、殺すしかない』というのは、君の言葉か?」
勇貴被告「僕の言った言葉ではありません」
弁護人「何でこういう表現に?」
勇貴被告「捜査官にこのような感じだなと言われた」
弁護人「それに対して、『はい、そうです』と?」
勇貴被告「お願いします、という言い方であったと思う」
弁護人「180まで数えたというのが調書にあるが」
勇貴被告「180というのは3分間。数えることは僕のくせですから」
弁護人「数えたのか?」
勇貴被告「はっきりしません」
弁護人「3分? 記憶ははっきりしないのか?」
勇貴被告「はっきりしません」
弁護人「首を絞めたのはどのくらいかという捜査官の質問はあったのか?」
勇貴被告「あったと思う」