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第2回公判(2010.10.20)

 

(12)「怖がることしないから、店へ行ってもいいか」 待ち伏せた被告を拒絶すると…

林被告

 約20分の休廷を挟み、今度は殺害された耳かき店店員、江尻美保さん=当時(21)=の別の同僚女性、△△さん(法廷では実名)が証言台に立った。

 江尻さんら2人を殺害したとして殺人などの罪に問われた元会社員、林貢二被告(42)は、うつむいて入廷。若園敦雄裁判長は開廷を告げ、向かって右側の扉から、△△さんが入廷した。

 肩までの髪に白いブラウス、ベージュの短いズボン姿の証人は江尻さんと同じくらいの20歳前後に見える。

裁判長「証人として法廷でうそを言わないことを宣誓してもらいます」

 女性は小さな声で宣誓文を読み上げた。続いて男性検察官が質問を始めた。

検察官「あなたは美保さんの勤めていた耳かき店のスタッフとして働いていましたね」

証人「はい」

検察官「美保さんとは同僚でしたか」

証人「はい」

検察官「店に勤務し始めたのはいつですか」

証人「平成21年の1月からです」

検察官「美保さんとは親しかったのですか」

証人「仕事の休憩中によく話をしたり、帰りに駅まで一緒に帰ったりしました」

検察官「どのような人でしたか」

証人「先輩風を吹かすこともなく仲良くしてくれました」

検察官「どんな風に仲良くしてもらったのですか」

証人「(店のコスチュームの)ゆかたの帯の結び方を教えてもらったりしました」

 林被告は目を閉じて証言を聞いている。

検察官「美保さんはあなたにだけ優しかったのですか」

証人「全員(に)です」

検察官「働きぶりはどうでしたか」

証人「とてもまじめで、誰よりも早く来て掃除をしたりしていました」

検察官「人気があったそうですね。なぜだと思いますか」

証人「どの客にも平等に笑顔で接していました」

検察官「それは難しいことなんですか」

証人「苦手なお客さんだと態度が変わってしまうこともあります」

検察官「客にこびたり、過剰なサービスをすることはありましたか」

証人「さっぱりした性格だったので、なかったと思いました」

 江尻さんには女性の指名客もいたという。店では性的サービスは一切なく、客が性的サービスを強要すると店長に報告、退出してもらうという。

検察官「あなたも客を出入り禁止にしてもらったことはありますか」

証人「触ってきたり、裏メニューはあるのかと聞かれたりしたことはあります」

 林被告はぎゅっと目をつぶって下を向いたままだ。

検察官「被告は長時間店にいたり、週に何度も店に来たりしましたね。美保さんは喜んでいましたか」

証人「あまり喜んではいませんでした」

検察官「なぜですか」

証人「ほかのお客さんも入れないし…。恋愛感情を持っていると困るから」

検察官「そういう話を美保さんとしたのですね」

証人「はい」

検察官「いつごろですか」

証人「平成21年の3月か4月ごろです」

検察官「平成21年4月5日以降、被告を見かけなくなった理由は尋ねましたか」

証人「『つきあって、つきあって』とうるさいから、と聞きました。5月ごろです」

検察官「つきあっての意味はどのように理解しましたか」

証人「客と店員ではなく、恋人という意味ととらえました」

検察官「美保さんが心配しているような言葉はありましたか」

証人「ストーカーになったりしたらどうしようと心配していました」

検察官「被告のつきまといの話は聞いていましたか」

証人「はい」

検察官「つきまといについてはどう言っていましたか」

証人「とても怖がっていました」

 ほとんどの裁判員が、証人の顔をじっと見つめている。

検察官「何か対策はとっていましたか」

証人「服装や髪形、眼鏡を変えたりしていました。私が駅まで送ったり、防犯ブザーや催涙スプレーを持ち歩いたりしていました」

 ここで男性検察官が立ち上がり、証人に証拠の写真を示した。小型の催涙スプレー、ピンク色の防犯ブザーの写真が、法廷に設置された大型モニターに映し出された。

検察官「その後、つきまとい行為に進展はあったと聞いていますか」

証人「自宅の近くで吉川(林被告が店で使っていた偽名)と遭遇して、『怖がることをしないから、店へ行ってもいいか』と聞かれ、断ったら表情が変わって追いかけてきて、コンビニに逃げたと聞きました」

検察官「いつごろですか」

証人「(昨年)7月15日の誕生日のあとだったと思います」

検察官「美保さんが亡くなったことについてはどう思いますか」

証人「とても親しかった友人なので…」

検察官「被告についてはどう思いますか」

証人「自分勝手だと思います」

検察官「処罰についてはどう思っていますか」

証人「私は死刑で当然だと思います」

 続いて弁護側の質問に移った。

弁護人「美保さんは平成21年の3、4月ごろ、(林被告が)恋愛感情を持っていたら困ると言っていたようですが、それより前はどうですか」

証人「なかったです」

弁護人「あなたはピヨ吉と聞いてなんのことか分かりますか」

証人「いいえ」

 続いて弁護人は、検察官の取り調べの際に催涙スプレーの現物を見たと答えたかどうかを尋ねたが、△△さんは質問の意図をつかみかねているのか、若園裁判長の質問も交えてかみあわないやりとりが続いた。見かねた向かって右側の裁判官が質問した。

裁判官「あなたはいつ催涙スプレーを見せてもらったんですか」

証人「店のブースで、休憩中に見せてもらいました」

裁判長「ありがとうございました」

 若園裁判長が証人に告げると、△△さんは退廷した。続けて裁判長は、証拠として採用する弁護側の一部資料の提示を求めた。大型モニターに平成20年7月20日の江尻さんのブログが印刷された紙が映し出される。

 「突然だけど元気かなぁピヨ吉」。そのほかシフト表を掲載したブログの写しも2枚表示された。

裁判長「本日はここまで。明日は弁護側の取り調べを先にして、被告人質問に入ります」

 若園裁判長が閉廷を宣言すると、林被告はゆっくりと無表情のまま退廷した。次回公判は21日午前10時から開かれる。

⇒第3回公判