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(6)衣服は裁縫ハサミで切り裂いた…下着の色まで鮮明に記憶

約20分間の休憩を経て、法廷が再開した。黒いトレーナーに黒いズボン姿の星島貴徳被告は、青白い横顔を傍聴人に見せながら、静かに証言台に座った。

被告人質問の内容はは、殺害後に東城瑠理香さんの遺体を浴室に運ぶ状況に移った。検察側の冒頭陳述によると、星島被告は、東城さんの死亡を確認すると、遺体を浴室内に運び入れ、衣服をはぎ取り、事件当日(平成20年4月18日)の午後11時50分ごろ、包丁2本とのこぎりを使って、死体の解体を始めたとされる。

検察官「解体したのは918号室(星島被告の自宅)の浴室ですか」

星島被告「はい」

検察官「なぜ浴室にしたのですか」

星島被告「血が流れるからです」

検察官「最初はどう運ぼうとしたのですか」

星島被告「ベッドで横になる瑠理香さんを持ち上げて…」

検察官「実際に運べたのですか」

星島被告「いいえ。力が足りず持ち上げられませんでした。ベッドごと動かしました」

ベッドとはエアベッドのこと。法廷の大型モニターには、東城さんの遺体をエアベッドごと動かした状況がイラストで再現されている。

星島被告「東城さんを引っ張り上げ、少しずつ持ち上げてずらし、(浴室に)体が全部入るようにしましたが、浴室が狭く、足がはみ出しました」

大型モニターは浴室内の様子を再現した実況見分の写真に切り替わる。

検察官「入らなかったというのは?」

星島被告「足が入りませんでした。ひざは曲げたと思います」

大型モニターには、両足を曲げた東城さんが浴槽にもたれかかって座っている状況を示すイラストや写真が映し出された。

検察官「ベッドはどうしたのですか」

星島被告「少し戻しました」

検察官「床の状況はどうでしたか」

星島被告「ベッドから少し血がこぼれ、汚れていました。タオルでふきました」

検察官「床の血をふき取ったということですね」

星島被告「はい」

検察官「服は?」

星島被告「大きなハサミで切りました」

検察官「なぜ、服を脱がさずに切ったのですか」

星島被告「体を持ち上げて服を脱がすのは大変だと思ったからです」

大型モニターは、ハサミ一つを映した写真に切り替わった。取っ手が大きめの裁縫用のハサミだ。

検察官「東城さんはどんな服を着ていましたか」

星島被告「黒のコート、水色のブラジャー、黒いタイトスカート、赤色のパンツ…。毛糸のパンツだったと思います」

検察官「ストッキングはありませんでしたか」

星島被告「黒だったと思います」

星島被告は、下着の色まで詳述してみせた。

検察官「切り取った衣服はゴミ捨て場に持っていったのですか」

星島被告「いいえ」

検察官「どうするつもりでしたか」

星島被告「まだ考えていませんでした」

検察官「ゴミ捨て場には捨てられないということですか」

星島被告「はい」

検察官「なぜですか。警察がゴミ捨て場をチェックすると考えたのですか」

星島被告「そう思います」

検察官「結局、衣服はどうしたのですか」

星島被告「たまたま持っていたコンビニの袋に入れてしまいました」

検察官「目隠しに使ったピンク色のジャージーは」

星島被告「一緒にハサミで切りました」

検察官「東城さんの顔から取り去ったのは、どの段階でしたか」

星島被告「一番最後かと…」

ここで、法廷の映像が再び切り替わった。東城さんが浴槽にもたれかかった状況を示す手書きのイラストは、星島被告が書いたものだ。

検察官「(東城さんを)全裸にしたときの状況を示す、あなたの絵ですね」

星島被告「はい」

検察官「どのくらいの時間を費やしたのですか」

星島被告「10分くらいだったと思います」

検察官「解体に使った道具は」

星島被告「最初はのこぎりで切断しようとしましたが、刃を受け付けなかったので、切れ味の良い包丁を使い、骨をのこぎりで切ることにしました」

検察官「なぜ、(東城さんが住んでいた)916号室の包丁を使わなかったのですか」

星島被告「東城さんの首を刺したとき、切れ味が悪そうだったので…」

星島被告は、遺体をバラバラにするにあたり、あえて切れ味の良さそうな包丁を選んだという。検察の質問は遺体の解体作業の詳細に移る。

⇒(7)「顔見るの怖くて」頭から…席はずす傍聴人も