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(5)「無線機で夫の浮気をチェックした」

弁護人「新車を購入するとき、相談は受けた?」

鈴香被告「いいえ。雑誌を持ってきて『この車、かっこいいべ』と言うので、『車のことはよくわからない』と言ったら、『この車を買った』と言われてびっくりした。(それまで持っていた)車の借金が残っていたので、『どうするの?』と言った」

弁護人「(前の)車の代金は給料から差し引かれていたが、新車は?」

鈴香被告「同じようにして抜かれていた」

弁護人「給料から8万円か?」

鈴香被告「8万円だったか、私にはローンがいくらだったか、教えてもらっていなかった」

弁護人「パチンコ代はあなたの財布から持って行くの?」

鈴香被告「はい。私が見ていないときに持って行くこともあった」

弁護人「あなたはとがめなかったのか?」

鈴香被告「とがめた。なぜ支払いのお金まで持ってっちゃうの、と」

弁護人「そうしたらなんと?」

鈴香被告「…覚えていない」

弁護人「パチンコで出すからという話は?」

鈴香被告「あった。パチンコでもしダメでも、最悪、お父さんからもらってくるからと」

弁護人「あなたが破産した時の陳述書には、仕事したいと言ってもさせてもらえなかったとあるが、本当か?」

鈴香被告「はい」

弁護人「それはなぜ?」

鈴香被告「よくわからないが、同窓会に行くときも、行っても良いと言って送ってもらったのに、突然、ダメと行かせてもらえないことがあった」

弁護人「誘導しますが、前夫が嫉妬(しっと)していたということか?」

鈴香被告「そうだと思う」

弁護人「町営住宅に移ったいきさつは?」

鈴香被告「父の仕事仲間から、藤里の方にきれいな住宅が空いているよと言われ、見に行った」

弁護人「父のコネで手配してもらったということ?」

鈴香被告「はい」

弁護人「前夫に相談はもちかけた?」

鈴香被告「相談した。ここは日当たりが良くなくて、テレビの電波も届かないようなところだったので、育児をするにはふさわしくない。もっときれいなところに移ろう、と言った」

弁護人「前夫は相談がなかったと言っているが?」

鈴香被告「きちんと話して、前夫も納得した」

弁護人「あなたは前夫の浮気相手を知っているか? 差し支えない程度でどんな人か?」

鈴香被告「見たことがある。ダンプ屋で、ダンプを洗ったり給油したりするガソリンスタンドの店員さん」

弁護人「なぜ知っているのか?」

鈴香被告「私もそこを使っていたし、前夫の帰りが遅いと、まだ終わらないかと言いに行ったりしていて、従業員の顔は知っていた」

弁護人「なぜ(浮気相手と)わかったの?」

鈴香被告「ダンプに乗っている人や、父の知り合いから、前夫がその女の子を連れて2人で出かけたのを見たと何度も教えられた」

弁護人「その話をどうやって教えられたのか」

鈴香被告「無線機で聞いたり、直接私に言ってくる人もいた」

弁護人「無線機とは?」

鈴香被告「ダンプに付いている無線機が、家にもあって、周波数を合わせて聞いていた」

弁護人「前夫(と浮気相手とされる女性)のプリクラの写真はどうやって見つけたのか?」

鈴香被告「洗濯をしようとしたら、前夫の普段着の胸ポケットから出てきた」

弁護人「追及したか?」

鈴香被告「すぐにはしなかった」

弁護人「どういう場面で追及したのか?」

鈴香被告「何かのためにと手帳にプリクラを挟んでいたが、前夫が見つけて『なんでおまえが持ってるんだ』と言われた。私も『2人で写っているのはどういうことなの?』と言った。彩香が生まれて間もないころだったので…」

弁護人「前夫はなんと?」

鈴香被告「友達だと」

弁護人「さらに追及はしなかったのか?」

鈴香被告「私はひとりで…ひとりというか、彩香と2人で家にいるのに、なんで出てっちゃうの?と。そういう遊び方はやめてくれ、と言った」

弁護人「前夫はやめてくれたか?」

鈴香被告「いいえ」

⇒(6)前夫は「彩香は自分の子でない」と思っていた