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(1)「実況見分には素直に応じた」

秋田連続児童殺害事件で、殺人と死体遺棄の罪に問われた無職、畠山鈴香被告(34)の第4回公判が17日午後2時半から秋田地裁(藤井俊郎裁判長)で開かれた。

鈴香被告のこの日の服装は丸首の黒の長袖シャツと黒ズボン。入廷の際に一礼すると、無気力な動きでいすに腰掛けた。

この日は検察側の証人尋問で、証人は鈴香被告を取り調べた秋田県警能代署刑事課の捜査員。落ち着いた様子で席に着いた捜査員に向け、検察側は、平成18年7月28日に同署内で行われた実況見分調書の内容について質問を始めた。この実況見分は長女、彩香ちゃん=当時(9)=を藤琴川に突き落として殺害した現場とされる大沢橋の状況を再現して行われたものだという。

検察官「実況見分調書にある写真は、彩香ちゃん殺害当時の状況を再現したのか」

証人「はい。犯行の手順を鈴香被告の説明で再現した」

検察側は、彩香ちゃんが橋から転落した状況を再現した実況見分調書の写真を証人に見せながら確認していく。

検察官「この写真はどんな状況を再現したものか」

証人「欄干に乗った彩香ちゃんが左に体をひねった状況を再現した」

検察官「この写真は?」

証人「鈴香被告が、左手で彩香ちゃんの上半身を押したと言ったのでその状況を再現した」

検察官「それでは、この写真は?」

証人「鈴香被告が『左足を踏み込んで彩香ちゃんを押した』と言ったのでその状況を撮影した」

検察側と証人とのやり取りで、長女を橋から突き落とした状況が生々しく法廷で語られても、鈴香被告の表情にはいささかも変化はない。ただぼんやりとした視線を前方に向けていた。

検察官「実況見分の際に、被告を誘導したりはしていませんね」

証人「はい、一切ありません」

検察官「実況見分にはどんな様子で応じていたか」

証人「素直に淡々と応じていた」

検察官「証言を拒絶するようなことは」

証人「ありません。私の感覚では、見分は順調に進み、思ったより早く終わったと感じた」

検察側が、実況見分の任意性を確認し、15分ほどの質問は終了した。

⇒(2)「誘導は一切なかった」