Free Space

加藤被告「心えぐられる思い」

 東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、殺人などの罪に問われた元派遣社員加藤智大被告(28)=青森市出身=の第27回公判が15日、東京地裁(村山浩昭裁判長)であり、検察側による被告人質問が再び行われた。前回までの被害者遺族の意見陳述について、加藤被告は「心がえぐられる思いだった。本当に申し訳ない」と振り返り、あらためて謝罪を口にした。また検察側の論告求刑が来年1月25日、弁護側の最終弁論が2月9日に行われ、結審することが決まった。

 被告は事件の目的について「殺傷することではなく、携帯電話のネット掲示板での成り済ましや荒らしといった被害のつらさを、分かっていない人に伝えたかった」と、従来の主張を繰り返した。また「(以前行われた)被告人質問以上のことはもう言えない」とし、「ご遺族、被害者の方には何遍言っても切りがないが、申し訳ないと思っている」と述べた。

 被告人質問に先立ち、事件発生までの被告の心理状態を分析した精神科医が、弁護側証人として出廷。

 母親の行き過ぎた「しつけ」が被告の人格形成に大きな影響を与えたことを指摘し、「未来に展望を持てない抑うつ的な性格を持つようになった。対人関係で常に相手から攻撃、批判されると考えるようになった」と証言した。また「被告自身は死に対しての恐怖感がない。人の死を重大なことと思えない死生観が、事件につながったのではないか。そう考えないと説明がつかない」と、戸惑いを浮かべながら話した。

⇒第28回公判