第30回公判(2012.3.1) 【被告人質問】

 

検察側、木嶋被告供述の矛盾点追及

木嶋被告

 首都圏で起きた男性の連続不審死事件で、殺人などの罪に問われた木嶋佳苗被告(37)の裁判員裁判の第30回公判が1日、さいたま地裁(大熊一之裁判長)で開かれた。この日は検察側が木嶋被告に対し、千葉県野田市の無職、安藤建三さん=当時(80)=との交際状況などについて質問した。検察側は弁護側の質問で述べた内容との矛盾点を追及、被告の供述は信(しん)憑(ぴょう)性が欠けると指摘した。

 検察側は、平成21年3月に木嶋被告が安藤さん宅で、安藤さんを睡眠薬で眠らせた上、クレジットカードを無断で使って現金を引き出したと主張している。2月22日の第26回公判では、木嶋被告はこの点について弁護側の質問に「(安藤さんに)頼まれて銀行で現金を引き出した。現金は安藤さん宅のこたつの上に置いた」と供述している。

 この日、検察側は、この際に引き出した現金をどこに置いたかを改めて質問。木嶋被告は、「棚の上に置いた」と供述した。

 検察側が「以前の供述と食い違う」と指摘すると、木嶋被告は「棚はこたつの隣にあり、私にとっては同じものと認識している」と説明。検察側が「そもそもどちらにも置いていないから供述が変わるのでは」と指摘すると、「今は形状を思い出すこともできないから違いが出た」と述べた。

 また、木嶋被告はこのときの状況について、弁護側の被告人質問には「安藤さんから『クレジットカード2枚の借入限度額を照会し、2枚を使ってキャッシングをしてほしい』と依頼された」と説明している。

 この日検察側は、木嶋被告が2枚の限度額の照会をしたものの、1枚だけでしか現金を引き出していないという使用履歴を紹介。「そもそも引き出しを頼まれていないのでは」と問われると「そのようなことはありません」と述べた。

⇒第31回公判