第19回公判(2012.2.10)

 

男性宅と被告の服 「練炭の成分一致」

木嶋被告

◇検察側、殺害の疑い示唆

 首都圏の連続不審死事件で殺人罪などに問われた木嶋佳苗被告(37)の裁判員裁判の第19回公判が10日、さいたま地裁であった。検察側は、不審死した安藤建三さん(当時80)宅にあった練炭と、死亡当日に木嶋被告が着ていたパーカから採取された微物の成分が一致した、と明らかにした。

 検察側が朗読した東京理科大の理学博士の鑑定書によると、木嶋被告が安藤さん宅近くに乗り付けた車(ベンツ)のトランクから採取された微物も一致。木嶋被告が安藤さん宅に練炭を持ち込み、火をつけて一酸化炭素中毒死させた疑いが強いことを示唆した。

 この日の法廷では、消火活動をした消防士が証言。検察側は、千葉県警と消防が焼け跡をよく調べなかったとして、「当時の判断は明白に誤りだった」と強く非難した。

 2009年5月15日の火災があった日、半袖姿の安藤さんが目撃されており、当時の気温の記録からも、暖房器具を使う必要はなかったという。遺体が見つかった部屋に練炭コンロなどがあったが、重要視されなかった。

 男性消防士は現場の状況から放火や漏電、ガスが原因ではないと判断し、安藤さんが喫煙者だったことから、たばこの火の不始末を疑った。しかし、遺体の周辺には灰皿や吸い殻はなく、結局、出火原因を「不明」としたという。消防士は「先入観でたばこに関係するものを探そうとして、練炭を見落とした。恥ずべきこと」と述べた。

 一方、弁護側は、ヘビースモーカーだった安藤さんの失火の可能性を主張。消防士には当時の様子などについて質問した。

⇒第20回公判