弁護側即日上告(2011.4.18)

 

押尾学被告上告も…3年半塀の中濃厚

押尾被告

 合成麻薬MDMAを一緒に飲んだ女性を救命しなかったとして、保護責任者遺棄罪で懲役2年6月の1審判決を受けた俳優押尾学被告(32)の控訴審判決が18日、東京高裁で開かれ、出田孝一裁判長は控訴を棄却した。裁判長は、被告が芸能人の地位保身のため亡くなった田中香織さん(享年30)を放置したと批判。弁護側は即日上告した。

 弁護団はMDMAは田中さんが持参したもので、押尾被告に保護責任はなく救命の可能性もなかったと主張。ただ、裁判長は、同被告が事件2日前にMDMAを用意したと指摘し、田中さんに異変が起きてから亡くなるまでの時間は証拠や医師の意見から約30分と推認。異変が生じた時点で119番通報すれば救命の可能性が相当程度あったと指摘。被告を保護責任者とした上で、薬の処分や口裏合わせをしたとした。同被告が遺族に謝罪文と100万円の賠償金を送り、辞退されたことを考慮しても「量刑が不当とは認められない」と切り捨てた。

 上告について、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「覆ることはほとんどない」と指摘。上告には(1)憲法違反(2)判例違反という理由が必要だが、該当しなくても上告受理の申し立てが出来る。ただ同弁護士は「保護責任者遺棄致死という際どい事案が争われており、量刑は不当と思えない。法廷を開かず、高裁判決に問題ないという結論が出るでしょう」と説明。同被告は一昨年11月にMDMA使用により懲役1年6月の判決を受けており、未決勾留期間180日を差し引くと実質的懲役は3年半となる。

⇒押尾被告、謝罪文と損害賠償100万円を遺族拒否