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冒頭陳述 「スカートの方が色気ある」と女に詳細指示

 第1 被告人と共犯者である女との関係

   (省略)

 第2 平成20年5月2日付起訴状記載の犯行状況など

 1 共謀状況および犯行に至る経緯

 被告人は、平成20年1月30日ごろ、女に対して、女が路上で男性に声をかけ、美人局をして金品を奪うことを持ちかけたが、女が路上で男性に声をかけるのは無理であると言ったところ、被告人は、出会い系サイトを用いて男性を呼び出し、その男性を相手に美人局をして金品を奪うことを女に持ちかけた。

 それに対して、女が、知っている出会い系サイトとネットカフェがある旨答えたため、両名は、○○付近のネットカフェに向かった。

 同所において、女はツーショットチャットにアクセスし、被告人と相談しながら、チャットに入ってきた被害者とのやりとりを続け、被害者と当日中に会う約束を取り付けた。

 女は、被告人の指示で、被害者に被告人の携帯電話のメールアドレスを教えた。

 被告人は、同所において、女に対して「どこかの喫茶店で待ち合わせしたら、そいつは駐車場に車止めるやろ」「喫茶店から駐車場に連れて行くとき、おれが後を付けて行くわ」「それで、駐車場でおれがボコって金を出させる」などと言って、女が被害者を呼び出して一緒にお茶を飲み、その後、被害者が乗ってきた車の駐車場まで被害者に案内させることとし、被告人が被害者の後をつけて、その駐車場で被害者に殴るなどの暴行や脅迫を加えて、金品を強取する内容の役割分担を提案し、女もこれに承諾したことから、遅くともこの時点において、被告人と女の本件強盗についての事前共謀が成立した。

 また、被告人は、女に対して、駐車場に着くまでに被害者の財布をすり取ることができればすり取ること、すり取れなかったとしても、被害者が財布をどこに入れているのか確認してメールをすることを指示し、女はこれを承諾した。

 その後、被告人と女は、公訴事実記載の犯行現場付近のコーヒーショップに被害者を呼び出した。

 被告人と女は、携帯電話を交換し、コーヒーショップ内で、別のテーブルに座り、女が被害者とメールをやりとりしながら、被害者が来るのを待った。

 被害者がコーヒーショップに来た後、同所において、女は被害者と会話し、その後、被害者とともに被害者の車が止めてある駐車場に向かった。

 女と被害者が駐車場に着き、被害者が車の運転席ドアを開けようとしたところで、被告人は本件犯行に及んだ。

 2 犯行態様は、公訴事実記載のとおり。

 3 犯行現場に居合わせた通行人の女性が、被害者が暴行を受けているのを見かねて、被告人に対して「もうやめたり」「お金で解決するんか」などと言い、被告人に1万円を渡したことから、被告人は、女とともに逃走した。

 4 被害者は、本件犯行によって、左第5〜8肋軟骨損傷の傷害を負った。

 第3 平成20年3月31日付起訴状記載の犯行状況等

 1 共謀状況

 被告人は、痴漢犯人をでっち上げて、その相手方から示談金などの名目で金品を脅し取ることを企て、その計画を、女宅などで数回にわたり、女に話していた。

 平成20年2月1日の午後6時から7時ごろ、被告人は、女宅において、女に対して、「今日、痴漢やろうか」と言って、痴漢犯人をでっち上げてその相手方から金品を脅し取ることを持ちかけた。

 さらに、被告人は、女に対して、「ちょろいからおれに任せとけ」「おれが目撃者の好青年を演じるから」「目撃者がいるのが一番強い」などと持ちかけ、女もこれに同意した。

 被告人は、引き続き同所において、女に対して「お前は中年の気の弱そうなおっさんを狙え」「おっさんの近い場所に行って触れられるくらいの距離を保て」「何やったら、自分から肩に触れるくらいのことをしろ」「そして、おっさんに『触りましたよね』などと声をかけろ」「それが合図や」「そしたら、おれが目撃者のふりをして、『触っているの見ましたよ』などと言って出て行くから」「後は、おれに任せとけ」などと具体的な指示をした。

 さらに、被告人は、女に対して「警察に行ったときに、被害者と目撃者が知り合いだと知られるとまずいので、携帯電話の着信履歴やメールを消せ」などと言い、被告人と女の共謀によるでっち上げの被害申告であることが、あらかじめ警察に発覚しないようにする旨を提案し、女もこれを承諾した。

 そこで、女は、携帯電話から被告人とのやりとりを削除し、被告人も携帯電話から女とのやりとりを削除した。

 また、被告人は、女に対して「スカートの方が色気がある。スカートの方が痴漢に狙われやすい格好や」などと言って、女にスカートをはいていくよう指示をした。

 遅くともこの時点において、被告人と女の本件虚偽告訴についての事前共謀が成立した。

 2 犯行に至る経緯および犯行状況

 同日午後8時ごろ、被告人と女は、女宅を出て、最寄り駅である○○○○○駅から○○駅まで行ったが、両名は、最寄り駅からは、ある程度の距離をおいて行動した。

 被告人と女は、○○駅において、○○○に乗車し、女が、同線において乗り合わせた乗客である被害者に近づき、同人が女の体を触った事実はないにもかかわらず、被害者に対して、「触りましたよね」などと声をかけ、被告人も、被害者に対して「見ましたよ。触ってましたよね」などと声をかけた。

 被告人、女、被害者の3人は、○○駅において降車し、同駅駅長室において、被告人と女は、本件犯行に及んだ。

 3 犯行態様は、公訴事実記載のとおり。

 4 本件は、女の自首によって発覚した。

 被告人は、本件発覚後、被告人にも自首してほしいと言った女に対して、「ふざけんな。おれは絶対自首なんかせえへん。お前が警察に行って自白を取り消してこい。お前が自白したらオレは刑務所行きやんけ。そうなったら、そのへんのやつらみんなぶっ殺してやる。お前ら家族も皆殺しにしてやる。住所なんか調べたらすぐ分かる。自白を取り消してこい」などと言って、自白の取り消しを迫った。

 第4 その他情状など

   (省略)

⇒共犯 初公判