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被害者家族が弁護側の証人として出廷

 初公判で弁護側は、父、母(ともに歯科医師)、長兄(歯学部在学)の3人を証人出廷させる異例の展開となった。「犯行当時、判断力が低下していた」と刑事責任能力を争うものとみられ、家族はこぞって、被告を擁護した。

 勇貴被告は潔癖で、神経質、優しく、頑固‥‥兄妹の仲はよかった、と口をそろえ、父親は「潔癖性で、外から帰ると、外で着替えてから家に入るほど。死体を切り刻むなんて考えられない」「皿から落ちた菓子も食べない潔癖性だった」と。兄も「洗濯物はわたしの何倍もあった。手が赤くなるほど洗う」などと述べた。

 被害者の亜澄さんに対しては「親として亡くなった子のことを言うのは辛いが、非常に気が強く、攻撃的。悪いことばかりで言いにくいが、謝らないし感謝の念に欠けている」と証言。亜澄さんが友人に「他の兄弟と差別されている」などと話していたことについても、父親は「自分の思い込み」と否定した上で、「人に哀れんでもらって、自分に対する気を引いて優しくしてもらいたかったんだと思います」と話した。

 また、亜澄さんは「父の帰宅した時、部屋に男性を勝手に入れていた」「一時、家出して帰ってきても一言も謝らなかった」「(兄たちに)暴力を振るわれたと親にウソを言った」という証言も家族から出た。

 これに対して、「(被告は)真摯に対応していた」と証言し、3人とも証言の最後に「寛大な措置をお願いいたします」と付け加えていたという。

⇒冒頭陳述要旨